教育研究所
№976「AIは,人間のために!!」
EU(欧州連合)は,4月8日に,AI(人工知能)の開発と利用に関する倫理指針(案)を公表した。これは,AIが,医療や労働,金融やエネルギーなどでの活用が予測・期待されており,好ましくない判断や誤用,トラブルの防止を視野に置いた開発や利用のルール作りが求められているからである。
その内容は「人間による監視の徹底」「安全性の確保」「プライバシーとデータの保護」「人種・性別による差別の回避」「事故が起きた際の説明責任」「社会・環境への配慮」「AIが判断材料にした情報の開示」の7つである。
さらに,10項目の必要条件として「事故の起きた時の責任の所在」「データの適切な利用」「障害の有無などが利用への影響」「人間による監視の確保」「偏見の創出や拡大の回避」「AIによる判断誘導のリスクの周知」「EUの個人情報保護ルールの順守」「外部からの攻撃などへの耐性」「リスク評価の仕組みの整備」「AIによる判断基準などの開示」を示し,人間が主体でAIは補完的役割であることを示している。
日本でも3月に「人間中心のAI社会原則」検討会議で,AI-Readyな社会に必要なこととして,「人間中心の原則」「教育・リテラシーの原則(註:この項目は,日本独自でEUにはない)」「プライバシー確保の原則」「セキュリティ確保の原則」「公正な競争確保の原則」「公平性,説明責任及び透明性の原則」「イノベーションの原則」を提言している。これは,6月のG20会議での議題になることが予想されている。
このようなことを理解した上で,AIと人間との関係などについて,児童生徒への教育・指導を適切に進める必要がある。(H&M)
(2019年4月23日)