教育研究所
№980「AIの時代に,生き抜いていけるか?」
車椅子の物理学者ステーブン・ホーキングは,「AIは人間にとって手ごわい存在になるかもしれない」と言ったとか。
そして,汐見稔幸は,教育は「身体で文化を覚えていくこと」「必死で考え協働で模索し試行錯誤の結果,目標に到達すること」「他者と多様に関わり,友人を増やし人と深くかかわること」という3つのことが「大好き」な子供を育てることの課題となると言っている。さらに,養老孟司は,「世界には「同一性」と「差異」が併存しているが,それがAIが生み出す脳化社会の処方箋になる。AIやコンピュータが邪魔になったらコンセントを抜いてしまえ」と言っている。また,杉山将は,「AIが人間社会を支配するという考えは,原理的には否定できません。しかし,研究の現状からみて,近い将来に起こるとはとても思えません」とも言っている。
ところが,石田克紀は「AIは役立つ。人間の害になるという考えが,最大の害である」と,むしろAIを歓迎し,人間とAIの共存を確信している人もいる。
そんな時,伊藤穣一&アンドレ―・ウール共著「教養としてのテクノロジー・AI,仮想通貨,ブロックチェーン」(NHK出版新書)を読んだ。「AIは労働をどう変えるのか?」「仮想通貨は国家をどう変えるのか?」「ブロックチェーンは資本主義をどう変えるか?」「人間はどう変わるか?」「教育はどう変わるか?」「日本人はどう変わるべきか?」「日本はムーブメントを起こせるのか?」と,様々な観点から,AI時代の生き方について教えてくれる。
特に,「人間はどう変わるか?」「教育はどう変わるか?」の2つは,学校教育の端っこの方で,ほんの少し関わっている者には,関心事(心配事)である。毎日,毎時間,子供と向き合っている先生方,どうかこのことを視野において子供の指導に当たっていただきたいと,切望します。 (H&M)
(2019年5月7日)