教育研究所
№984「簡単は,本当にいいのか?」
スマホのLINEやSNSのせいか,中学生と高校生の返事が「うん」「そう」「大丈夫」「別に」,頼むのに「これやって」「今日は,お米だけ」「行ってくる」と,後期高齢者には真意が理解しにくいことが日常化している。「なにを」「どうするのか」「どう考えているのか」...が,「分かるように,もう少し,具体的に話してよ!」と注文を付けると,「うん!」と返事が返ってくるだけで,一向に改善しない。我が指導力の不十分さを痛感している。
度を過ぎた丁寧さは要求しないが,「文」で会話ができるようにならないものか。(学校で,指導をしてもらいたいと思うが,「○○教育」というのが学校に押し寄せているということなので,そう強くは要求できない...。)
ところで,故菅野仁(宮城教育大学教授・副学長)の著書「友だち幻想~人と人のつながりを考える~」(筑摩書房)の中で,コミュニケーションが深まらない「阻害語」として,友人を評価するのに「ムカツク」「うざい」,話題を転換する「ていうか」,自分の感じ方を表現するのに「チョー」「カワイイ」「ヤバイ」,友人を評価する際に「キャラがかぶる」「KY」などを挙げている。
人間の情緒や論理を築いていくためには,余りに「空疎」で「粗い」言葉過ぎるというのである。このような「阻害語」を使っていると,いつの間にか,情緒も論理もいい加減になってしまうという警告と受け止めた。(H&M)
(2019年5月15日)