教育研究所
№988「『知識』『技能』と『知識・技能』」
これまで評価のことになったら,橋本重治先生,辰野千尋先生,石田恒好先生の著書や論文に頼りきってきた。不勉強な自分は,いまだにその状況から抜け出せない。
ところで,新しい指導要録の「通知」が出るずいぶん前に,これから「技能」と「知識・理解」が統合されて「知識・技能」になるという噂を聞いたとき「本当にそれでいいのかな?」と直感した。「物事が分かって知識として習得した状況」と「原理が分かって技能として習得できている状況」の間には相当の乖離があると思ったからである。
K先生に「これからは,分かっているだけでなく,できるようになっていることが重要である。だから『わかっている』ということと『できる』ということを別個に評価することは適当ではない」と説明されて,「う!?」と思いつつ受け入れてしまった。
ところが,石田恒好先生が,ある雑誌(「指導と評価」令和元年5月号p4)で,「知識」と「技能」という学力は存在するが,「知識・技能」という学力は存在しないと述べ,その理由を以下のように解説している。
例えば,「知識」が十分満足できる判断されるAで,「技能」が努力を要すると判断されるCで,「知識・技能」はおおむね満足できるBと判断されると,「知識」「技能」の実態とかけ離れてしまい,「指導の資料(指導機能)」として,活用できるだろうか。?」というものである(要約引用)。
「通知」の内容は変わらないので,「さて,どうしたらよいものか」じっくり考えて,適切に評価し,活用できるように,同僚と知恵を絞ってみたいと思っている。もちろん,こんな些細なことに「疑問」を抱かない場合は,無視していただきたい。(H&M)
(2019年5月21日)