教育研究所
№989「特別展・美を紡ぐ日本美術の名品」
東京国立博物館で特別展が開催(令和元年6月2日まで)されており,雪舟,永徳,光琳,北斎などの名品を鑑賞できる。この名品の中に,葛飾北斎の「西瓜図(スイカ図)」(天保10年=1839年の作)がある。
実は,この北斎の作品は,明治23年(1890年)4月1日の上野術展覧会に出品されており,正岡子規が鑑賞して以下のような感想を,上京した明治17年~25年頃に著した随筆「筆まかせ」に書き残している。(註:上井照著「大食らい子規と明治」アトラス出版)その中には,「北斎が画きし西瓜を半切せし上に白紙を張り,赤色の紙にくみたるところはいかにも真に迫り,西洋画も三舎をさけんと思われたり,思うにこの趣向は西洋画より深くにあらざるか,北斎は,いまだ西洋画を見るに及ばざりしか」とある。よほど気に入ったらしく,晩年の「果物帖(くだものちょう)」の中に,北斎の「西瓜図」を真似て描いた「シロウリの図」があるそうだ(讀賣新聞令和元年5月4日朝刊p13「子規も魅了した迫真性」文化部長前賀恭二)。
「子規庵」のあるJR鶯谷駅近く,「笑点」の林家三平の学んだ学校に勤務していたこともあり,懐かしく思い出した。(H&M)
(2019年5月22日)