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小学校総合的な学習の時間:世界は変えられる カラフルに

~「つながる」から「つなげる」へ~(6年)

高知県南国市立大篠小学校教諭 谷口たにぐち 忠大ただひろ

〈Educo No.55 2021年5月発行より〉

南国市立大篠小学校(児童数789名 30学級)は、学校教育目標「未来を拓く自己を育てる大篠小学校」の実現のために、算数科と生活科・総合的な学習の時間とを実践研究の両輪と位置付けている。

総合的な学習の時間は、3年「大篠(校区)」、4年「環境」、5年「福祉」、6年「平和」とテーマを決めて取り組んでいる。人とのつながりによって、子どもたちの意識が大きく変容し、粘り強く探究課題の解決に取り組んだ6年の実践を紹介する。

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パレスチナに応援メッセージを送る(難民支援をしているJVC職員の山村順子さんへ)

子どもたちの本音からのスタート

戦争や平和について子どもたちの関心は低く、「戦争は昔のことだから」「自分たちががんばっても世界は変えられないから」という子どもたちの本音を引き出すことが学習のスタートとなった。

「つながる」ことで変わる意識と言動

そのような中、戦後75周年を特集した新聞記事から、広島在住のシンガーソングライターであり、平和公園のガイドをしている瀬戸麻由さんの存在を知り、瀬戸さんの「Colorful World」という曲を鑑賞した。平和を願う歌詞と瀬戸さんのきれいな声に子どもたちは心を打たれ、思い切ってリモートでの交流を依頼することにした。

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瀬戸さんと修学旅行の広島で交流

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平和記念公園で瀬戸さんと「Colorful World」を歌う

瀬戸さんとの交流を重ねながら、子どもたちはさまざまな立場で平和活動をしている方(北方領土元島民、北方領土根室研究会の高校生、外務省職員、難民支援を行っているJVC職員等)とリモートで交流をするようになった。その中で、「活動することで人とのつながりが増えて、わくわくする」「活動に賛同してくれない人や否定的な人もいるが、その人たちの背景を知ることで、その人たちのことを理解できる」といった共通の思いを知ることになった。

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北方領土元島民 得能宏さんとのリモート交流

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北方領土返還全国大会にリモート参加

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根室高校北方領土研究会とのリモート交流

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外務省職員とのリモート交流

子どもたちの中に「つながること」「対立ではなく相互理解すること」が、世界を変える力になるという実感が生まれていった。また、子どもたちは、「時間割にないけど明日、総合の時間をとって欲しい」と要求してきたり、核兵器や地元の戦争遺跡について自主的に調べてきたりするなど、主体的に動くようになってきた。そして、意見の食い違いが生じたときにも、互いの思いや気持ちを理解し、尊重し合い、友達と協働することを楽しみながら粘り強く問題の解決を図っていくようになった。

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1,300人の中高生に実施したアンケートの集計

「つなげる」ための表現活動と予想を超える反響

若い人に平和への関心をもってもらいたい」、そのために「自分たちがつながってきた人たちのことをたくさんの人に知ってほしい」「自分たちが変わったことを伝えたい」という思いの高まりは、それらを地元新聞に投稿したり、動画によって表現したりすることにつながった。動画作成では、瀬戸さんが、はるばる本校まで駆けつけてくれた。子どもたちと瀬戸さんの歌声をのせ、「世界は変えられる」という思いを込めた動画をたくさんの方に見ていただきたい。

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本校で瀬戸さんと動画作成

【YouTube】

▶ 「世界に平和を」 大篠小学校6年1組

地元新聞に掲載された投稿記事と動画に対して、交流をしてきた方々からは「身に余る紹介」「胸がいっぱいになった」といった感想が寄せられるとともに、動画の再生回数が予想以上に伸び、知らない方々からも、称賛や励ましのコメントをたくさんいただいた。子どもたちは、反響の大きさに充実感や達成感をもち、「つなげる」ことができたことを喜びあった。