小学校英語:児童の興味を高め、「捉えさせる」ために
〜紙の教材とデジタル教材を活用して〜
沖縄県
〈小学教科通信 2021年5月号 より〉
授業で大切にしたいこと
私は、授業改善アドバイザーとして、外国語・外国語活動の指導方法について、介入授業や指導助言を行っています。外国語・外国語活動の授業づくりで、最も大切にしていることは「活動を通して」言語の使い方を「捉えさせる(自ら気づかせる)こと」です。ここでは、5年生Lesson 6「Where do you want to go?」(行ってみたい都道府県を伝えよう)の実践をご紹介します。4年生の社会で都道府県について学んでいるので、この単元は、習ったことを生かした授業にすることができます。また、県外のことをあまり知らない児童も多く、「名所・名物マップ」に多くの児童が興味を示していました。
デジタル教材を活用した導入
導入時には、単元のゴールの姿を示し、児童がそこに向かって主体的に学習に取り組めるようにしていく必要があります。
まず、指導者用デジタル教科書(教材)で児童がやり取りをする動画、Let's Watchを視聴させます。その後、筆者がパワーポイントで作成した「先生たちの行ってみたい都道府県」を紹介し、Where do you want to go? / I want to go to (see,eat,buy,enjoy)~. の定型文のインプットを行いました。さらに「都道府県魅力度ランキング」の発表を行い、児童の興味を高め「自分だったらどこに行きたい?」と思考させ、やり取りにつなげます。

パワーポイントは印刷し、提示する絵カードとしても活用できます。
言語を「捉えた」児童たち
次に、行ってみたい都道府県とその理由を伝える最終活動に向けて、必要な表現を学習します。
本単元の「名所・名物マップ」には、各都道府県の地図とその観光名所・特産品がイラストで描かれています。それを活用し、インプットを行った表現の確認をするポインティングゲーム※を行います。デジタル教科書を使うと、都道府県を大きく提示でき、興味をもった場所の特産品などについて音声とともに確認することができます(写真参照)。

はじめはレベル1として、教師の発話を繰り返した後に、"Go!"の合図で、発話された場所を教科書上でポインティングする活動を行います。
(発話例)
S:Where do you want to go? T:I want to go to Kyoto. S:I want to go to Kyoto.(繰り返して言う) T:Go! S:(都道府県をポインティングする) |
次にレベル2として、教師の発話を受けて、IをYouに変えてリアクションし、"Go!"の合図でポインティングする活動を行います。
(発話例)
S:Where do you want to go? T:I want to go to Kochi. S:You want to go to Kochi.(IをYouに変える) T:Go! S:(都道府県をポインティングする) |
※音声を聞いてあてはまるイラスト等を指さす、リスニング活動。

その後、レベル2でポインティングした都道府県の観光名所・特産品について、少しずつアウトプットをさせていきます。

岩手県の特産品のわんこそばについて紹介すると、児童は「そばが次々に入れられるなんておもしろい。I want to enjoy wankosoba noodles.だよ。」「いっぱい食べるならI want to eat wankosobanoodles.じゃない?」とenjoyやeatを自分の思いや考えを表現する言葉として選ぶようになりました。Iga ninja,Koka ninjaについても同様にseeかenjoyかを選ぶようになりました。他の観光名所・特産品についても同様です。一連の活動を通して、児童自らが言語の使い方を「捉えた」のです。
思いをよりよく伝える最終活動
コロナ禍で十分なやり取りができない現状です。普段の授業ではマスク着用を徹底し、席の横ペア・縦ペア・斜めペアとやり取りを行っています。
最終活動のFinal Activityでは、ポスターセッション型のやり取りを行います。リアクション表現を使った反応や質問もでき、数回のやり取りができるような形にしました。

Final Activityの前に、自分の思いや考えをより相手に伝えるための工夫として、パソコンも使ってワークシートのイラスト部分のみを作成させます。
やり取りでは、イラストを指し示しながら"I want to go to Hokkaido. I never see snow. I want to see snow. I want to see Sapporo SnowFestival."のように、自分の思いが相手に伝わるように楽しくやり取りする姿が見られました。

〇に目(seeを示す)、口(eatを示す)などのマークが入ります。
Final Activityでのやり取りの後、話したとおりに書いてみようと、英語の書き方のきまりに沿って、ワークシートになぞり書きや写し書きの活動を行います(写真参照)。
おわりに
この最終活動の後、「コロナが収まったら行ってみたい都道府県を家族に伝えよう」という宿題を出しました。この時期だからこそのテーマで、児童のモチベーションも上がり、家族からもコメントが届くなど、好評でした。
このように、児童の興味や関心をひき、気づきと発話を促すように授業の工夫をしています。教科書紙面・デジタル教材・手作りの教材のよさを生かしながら、今後も授業づくりをしていきたいと思います。