中学校における1人1台端末の積極的な活用を目ざした取組
新潟県三条市立大島中学校 教諭 |
〈Educo No.57 2022年1月発行より〉
本校ではChromebookが全校生徒に配付され、9か月が経とうとしている。各教科での実践や校務での活用、委員会や部活動での活用等が進みつつある。学校によってはいつでも子どもが選択して活用する段階まで進んでいるところがある一方、ようやく整備が整い、活用が始まった学校も多い。今回、本校での活用を振り返りながら、事例として2つ紹介する。
端末を授業ですぐに活用できる環境作り
端末の活用がスムーズに行くためには、いつでも子どもの手元にあり、使いたい時にすぐに使える環境を作る必要がある。しかし、子どもが勝手に学習に関係のないことをしたり、不適切な使い方をして人間関係にトラブルが起きたりしないかなど、不安を感じる教師は多い。
そこで、本校では図のような使い方を示した用紙を作成、配付した。これは、札幌の小学校の先生とSNSを通じて情報共有し、作成した心得である。ここには、「朝学活が始まるまでに、Googleフォームで作成されたWeb健康観察を入力し、終わったら引き出しにしまう」といった具体的な行動を示している。
ところが、慣れてきた頃にルールを破る生徒が出てきた。そこで、これは生徒と教師が話し合い、活用を見直すよい機会と捉え、生徒会を中心として心得の見直しと再発防止のための意見交換を行った。生徒会から出た意見をまとめ、全校生徒に提示した。その後はルールを守りながら順調に活用が進んでいる。
端末を使ってデジタルのメリットを活用した授業
今年4月、コロナ禍で3年生の修学旅行の行き先が、関西方面から県内へ変更となった。その頃、生徒は京都のことを調べ始めていたため、この学びを無駄にしたくないと考え、新潟にいながら京都を体験するバーチャル修学旅行を考えた。ChromebookからGoogle Earthにアクセスし、360度画像を活用して、京都一日研修プランを作成する授業である。生徒は個人で京都一日研修ルートを考えた後、Google Earthの「プロジェクト」モードを活用し、リアルな360度画像を見ながら、行程を紹介するプレゼンを作成した。その後、グループ内でプランを見せながら発表会を行った。「バーチャルだったが、調べながら楽しめた。また、実際に自分でも行ってみたいと思った」という生徒の感想から、1人1台端末が手元にあることで、教室にいながらにしてリアルな体験につなげることができた。この活動後、JTB社による「バーチャル修学旅行360」プログラムに参加し、VR技術を用いた修学旅行を行い、学年全体で旅行気分を味わいながら学びを深めることができた。
1人1台端末を活用することで、生徒が主体的に学習に臨んだり、教師が生徒の資質・能力を最大限に発揮する取組が増えたりすることを願いながら、今後も活用の工夫を図っていきたい。