第5回 「空間的制約を超えた相互かつ瞬時の情報の共有」(双方向性)①
東京都板橋区上板橋第四小学校主任教諭
はじめに
再度、「教育・学習におけるICT活用の特性・強み」の表を掲示します。
出典:GIGA StuDX 推進チームの取組 新学習指導要領とGIGAスクール構想の関係(文部科学省 令和3年5月12日)
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今回は、③の「空間的制約を超えた相互かつ瞬時の情報の共有(双方向性)」について紹介していきます。
③空間的制約を超えた相互かつ瞬時の情報の共有(双方向性)
「ウェブ会議機能、ファイル共有機能等による学校と家庭、他の学校、地域や海外との交流のような距離が離れた場をつないだ学習」と聞いて、どのようなことをイメージするでしょうか。
オンライン授業等で活用されているのが、この③の特性・強みです。家庭で過ごす児童と学校の教室をつなぎ、学びを止めないという活動は、今や全国で行われている実践です。また、全校児童集会など、多くの人数で行われる集会でも、ウェブ会議機能を用いてさまざまな企画を行うことができるようになりました。
各家庭と学級をつなぎ、授業を行っている様子(GoogleのMeetを使用)
全校児童が集まる集会は、各学級から参加することで実施が可能となることも
ウェブ会議機能を活用すれば海外との交流も可能となります。下の写真はオーストラリアの学校との交流の様子です。外国語科の授業で学習したことを活用し、自己紹介を行っています。初めは全体でグループごとに交流し、交流の仕方やコミュニケーションの取り方、グループ学習の仕方を学びます。その後は、全体で行ったことをもとにグループごとに交流を深めるという活動も想定されます。
また、総合的な学習の時間では、探究過程において専門家からの情報の収集を、ウェブ会議システムを用いて行うことで、距離の隔たりに左右されずに専門家からアドバイスをもらうことも可能となりました。探究を深めるために児童・生徒自ら、専門家にアポイントをとり、アドバイスをもらう機会を設定するということも考えられるでしょう。
つまり、ウェブ会議システムを用いることで、動画コンテンツとは違い、
・双方向のやり取りができること
・距離が離れていても、学ぶ機会を設けることができること
等が可能になりました。
終わりに
このように、「空間的制約を超えた相互かつ瞬時の情報の共有(双方向性)」というICTの特性・強みを生かすことで、学ぶ環境を整えることができ、遠くに離れていても、どこにいても学び合うことができるようになります。ここで、いつものポイントをおさえておきましょう。
ICTの特性や強み③の特徴を意識し、子どもたちの学びをより豊かなものにできるよう、取り組んでいきましょう。
次回は、ファイル共有機能について触れていきます。
【著者プロフィール】
公立小学校の講師、教諭、主任教諭を経て、令和3年度文部科学省初等中等教育局GIGA StuDX推進チームに所属し、全国のGIGAスクール構想の推進のために活動。GIGAスクール構想の理念とICT活用の在り方等を全国に発信してきた。今年度は、学校現場に戻り、6年生の担任としてICT活用の実践に取り組んでいる。