第7回 「家庭学習×ICT活用」①
東京都板橋区上板橋第四小学校主任教諭
はじめに
「ICT端末を持ち帰らせて、何をしたらよいか」という質問をたびたび受けることがあります。家庭でどのように活用していけばよいのかということは、多くの先生がたにとって悩みの種になっているのかもしれません。そこで、第7回・第8回は、家庭でのICT端末の活用方法やポイントを紹介します。
連絡帳の代替
上の写真は、私のクラスの連絡板です。連絡帳代わりに学習支援ソフトの掲示板を活用しています。
児童が下校したあとに配信し、翌日の時間割や持ち物を確認できるようにしています。そして、読んだら読んだことをひと言知らせるよう伝えています。ここで、ただ知らせるだけでなく、「その日の感想」や「いちばん頑張ったこと」など、教師が出したテーマに対する答えを付け加えてもらうという工夫を行っています。そうすることで、クラスの児童が1日、何を感じていたのかを教師が把握することができるだけでなく、児童どうしが互いを理解し合う場が生まれます。また、タイピングが苦手な児童も、友達からのひと言がうれしくて自然に取り組む姿が見られます。
学習をふり返る
さらに、下のように、テスト前に既習内容の確認ができるよう、URLを添付し、自主学習にも取り組めるようにしています。児童自身が復習の仕方を見いだせるような工夫です。
アンケートや家庭での取り組み
また、アンケートに答えたり、次の授業に必要な情報を家の中から集めたりするという活動も考えられるでしょう。カメラ機能を使って家庭の中から集めた情報を授業で活用するという活動が考えられます。
宿題の提出
また、私の学級では家庭学習に自主学習(自分で学ぶことを決めて学習に取り組む)を進めていますが、児童によってはノートに書くことに困難を感じている場合があります。あるいは、ノートに書くよりもICT端末を活用して取り組んだほうがよいと感じる学習の場合もあるようです。その場合は、ICT端末を活用し、取り組んでもよいことにしています。その際に提出できる提出BOXを作っています。
(Google Classroomを使用)
提出されたものを見ると、自分の調べたいテーマについてまとめた内容や、運動会などの表現運動の練習動画など、児童一人一人が工夫をして取り組んでいることがわかります。つまり、ICT端末を活用することで、児童の家庭での学びの幅が広がり、より自分が学びたいことを探究することができる場が設定できると考えています。
(Googleスライドを使用)
運動会の表現運動の練習を動画で撮影し、提出。撮影した動画を見ることで、振り返り、過程での学びを授業に生かすことができる。
(Google Classroomを使用)
(カメラ機能 Google Classroom Googleドライブを使用)
終わりに
今回は、連絡帳の代替、テスト対策、アンケートへの回答、宿題の提出という活用方法をご紹介しました。ここでポイントなのは、ちょっとアレンジを加えるということです。連絡帳だけの機能では、今までの紙の連絡帳に書いたほうがよいと感じることが多いかもしれません。しかし、前回までの記事に書いたようにICTの特性・強みである、容易に蓄積をすることや双方向性のやりとりが瞬時にできることなどを考慮することで、"ICT端末ならでは"の活用方法が生まれます。
【著者プロフィール】
公立小学校の講師、教諭、主任教諭を経て、令和3年度文部科学省初等中等教育局GIGA StuDX推進チームに所属し、全国のGIGAスクール構想の推進のために活動。GIGAスクール構想の理念とICT活用の在り方等を全国に発信してきた。今年度は、学校現場に戻り、6年生の担任としてICT活用の実践に取り組んでいる。