#7 「前を向きなさい。」の後悔
香川大学教育学部准教授
【著者プロフィール】
東京都小学校、広島大学附属三原小学校等を経て現職。小・中学校の先生がたと社会科、総合的な学習の時間、生活科の授業づくりにともに取り組んでいる。
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香川大学教育学部准教授
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聴覚優位の子どもは、人との会話を通じて理解を図り、口頭での指示を好みます。歌詞を覚えたり、聴いた曲をピアノで弾いたりするなど、音やリズムに敏感です。社会科などの年号の語呂合わせが得意な場合も多いです。一方で、映像から情報を得ることや、騒がしい場所で指示を聞くことが苦手です。漢字学習では、同音の漢字をまちがえる傾向があります。「算」数を「参」数と書くようなまちがいです。 視覚優位の子どもは、映像や資料などの視覚情報を好みます。空間や色や明るさ等に敏感です。言葉だけでの指示は苦手なため、「話を聞いていない」と叱責されがちですが、聞いていないのではなく、聴覚からの情報処理に混乱が生じているだけかもしれません。また、目から入ってくる情報に反応しがちなので、多方面へ関心が向きやすくなります。漢字学習では、形が似ている漢字をまちがえる傾向があります。「部首」と「つくり」に着目させる等の視覚的な指導が効果的です。 身体感覚優位の子どもは、体験・体感からの情報処理が得意です。長い解説よりも「実際にやってみる」という学び方が効果的です。一方で、自分が考えていることを「ギュッ」「グッ」のような身体感覚を表す言葉で表現したり、身振りや手振りをつけて伝えようとして、返答が遅くなったりすることがあります。漢字学習では、指書きや空書き(空中に大きく書く)など、手を動かしながら練習させるとよいでしょう。 このほかに「言語優位」の認知特性もあります。言語優位の子どもは、文字や文章で読んだ情報を処理することを好みます。物語を読んで情景を思い浮かべたり、イメージを文章化・図式化したり、ノートをきれいにまとめたりすることが得意です。教科書の説明や板書などの文字情報を活用した指導が効果的です。 情報を伝える際には、子どもたちの認知特性を意識した伝え方が必要です。また、大人も子どもも、自分の認知特性を自覚できていると、勉強の効率が上がったり、他者とのコミュニケーションが円滑になったりします。 |
【著者プロフィール】
東京都小学校、広島大学附属三原小学校等を経て現職。小・中学校の先生がたと社会科、総合的な学習の時間、生活科の授業づくりにともに取り組んでいる。