ICT活用による個別最適で主体的な学びを実現するための工夫と配慮

興味や関心、学習スタイル等が、子ども一人一人で異なることはいうまでもありません。こうした子どもたちに対応していくためには、一斉指導といった単線型ではなく、子ども一人一人が自らのペースで主体的に学んでいく複線型の授業になることが理想でしょう。複線型の授業は、生涯にわたって能動的に学び続ける子どもを育むためにも望ましいことといえます。これまでも個別最適な学びや自由進度学習など、多くの取り入れるべき考え方があります。しかし、教師が一人の教室で実現するには困難がありました。
近頃、1人1台端末と汎用のクラウドツールをうまく活用した複線型の授業を目にします。例えば、問題解決的な学習では、子ども一人一人が、課題を立てたり、調べたり、整理したり、まとめたり、伝えたりしながら、アウトプットをICT端末でまとめていきます。ICT端末を通して、教師は子どもの学習状況を逐次把握したり、お互いの成果を子どもどうしで参照させたりしながら進めています。こうした授業を分析してみると、学習材として最も活用されていたのは教科書でした。つまり、これまで以上に、個別最適で主体的な問題解決学習に効果的な教科書が求められているのです。
東京学芸大学教授 高橋 純