言葉のてびき
教育出版株式会社 編集局
Q3
「年齢」か「年令」か
「齢」は「よわい」「とし」という意味であるが,「令」は「おきて」「いいつけ」などの意味であり,伝統的,規範的な見地からは「年齢」と書き表すべきである。国語辞典・用字用語辞典などのたぐいも,定評のあるものはほとんど「年齢」を採っている。(『NHK編 新用字用語辞典』には「表などでは『年令』としてもよい」の注記がある。)
しかし,学校教育においては,小学校国語教科書で「年令」を用いることもあるのに対し,中学校の教科書では「年齢」を用いている。「令」は教育漢字であるが「齢」はそうではないことが主たる理由であり,あくまで便宜的なものである。その根拠は必ずしも定かではないが,昭和36年3月17日,第42回国語審議会総会に国語審議会第二部会が提出した「語形の『ゆれ』について」では,次のように述べている。
年齢を数える場合に,「歳」のかわりに「才」を使い,また,「年齢」の「齢」のかわりに「令」を使うことはこれまでもかなり普通に行なわれている。「才」「令」は教育漢字,「歳」「齢」はそうでないことなども考え合わせると,今後はこのような場合,「才」「令」の使用がいっそう一般的傾向になるであろう。これを一概にとがむべきではないと考えられる。
引用文中にもあるように,「何歳」か「何才」か,という問題も同様の関係にあり,小学校の教科書では「才」,中学校の教科書では「歳」が用いられていることもある。ただ,冒頭でも述べたように,多くの国語辞典が「年齢」を採って「年令」を採っていないのに対し,「何才」を「何歳」の代用として認めている国語辞典・用字辞典はかなりあり,漢和辞典においても「歳」の代用として「才」を示しているものが多い。
このことは,年齢を表す場合にのみ「歳」のかわりに「才」を用いることが,かなり一般的に行われていることを示しているといえる。
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