言葉のてびき
教育出版株式会社 編集局
Q4
「附属」か「付属」か
本来の表記は「附属」であるが,一般には「付属」もかなり広く使われている。戦前は,「附」と「付」の使い分けがほぼ定着していて,「つく・つける」の意を含む語には,「附属」「附表」のように「附」を用い,「わたす・あたえる・さずける」などの意を含む語には,「交付」「給付」のように「付」を用いていた。
しかし,もともと「付」には「つく・つける」の意があり,「当用漢字表(とうようかんじひょう)」制定の際も,「同じ音で意味の近いものは一方を省く」という方針から「付」に統一する方向にあった。最終的には,日本国憲法に「附」が用いられていることから,「当用漢字表」に「附」も採用されることになったが,この考え方は「当用漢字補正資料」に生かされ,「附」は「当用漢字表から削る字」の中に入れられた。こうして新聞など一般には「付属」が用いられ定着したが,一方,法令や公用文においては「附属」が用いられ,現在にいたっている。
「常用漢字表(じょうようかんじひょう)」が告示された現在,「当用漢字補正資料」は効力を失ったが,前述の考え方は依然として受け継がれていると考えてよい。したがって,「常用漢字表」の「附」の項には,語例として「附属」「寄附」が掲げられているが,なるべく「付」を用い,「付属」「寄付」と書き表したほうが望ましいと思われる。
ただ,法令や公用文では,「附則・附属・附帯・附置・寄附」については,「附」が用いられることになっているので,それらの文書,また,その引用等においては,当然,それに従うことになる。また,それとの関連で,国・公立の「ふぞく小・中・高等学校」などの場合には,「附属」を用いることになっている。
この記事は,画面の幅が1024px以上の,パソコン・タブレット等のデバイスに最適化して作成しています。スマートフォンなどではご覧いただきにくい場合がありますので,あらかじめご了承ください。