言葉のてびき
教育出版株式会社 編集局
Q13
「大きい」は「おおきい」か「おうきい」か
「大きい」は,現代仮名遣いでは「おおきい」と書き表す。 昭和61年7月1日告示の「現代仮名遣い」の「第2 特定の語については,表記の慣習を尊重して,次のように書く。」の中に,
6 次のような語は,オ列の仮名に「お」を添えて書く。
例おおかみおおせ(仰)おおやけ(公)こおり(氷・郡)
こおろぎほお(頬・朴)ほおずきほのお(炎)
とお(十)いきどおる(憤)おおう(覆)こおる(凍)
しおおせるとおる(通)とどこおる(滞)もよおす(催)
いとおしいおおい(多)おおきい(大)とおい(遠)
おおむねおおよそ
これらは,歴史的仮名遣いでオ列の仮名に「ほ」又は「を」が続くものであって,オ列の長音として発音されるか,オ・オ,コ・オのように発音されるかにかかわらず,オ列の仮名に「お」を添えてかくものである。
と,示されている。
現代仮名遣いで難しいのは,「おう・こう・とう」などと,このような「おお・こお・とお」などとの使い分けである。例えば,「王手」「大手」は,現代の発音のうえでは「オーテ」となり,区別することが難しいが,現代仮名遣いでは,「王手」は「おうて」,「大手」は「おおて」と書き分けなければならない。
このように,「おう」「おお」と書き分けるのは,「王手」の「王」は,「お」の長音と考え「おう」と書くのに対して,「大手」の「大」のほうは,元来は長音ではなく「おお」という連母音であるという考え方によっているからである。
現代の発音では区別することが難しい「王」「大」を「おう」「おお」と書き分けるのは,歴史的仮名遣いを知らなければならず,「現代仮名遣い」の問題点の一つになっている。しかし,「おお・こお・とお」などのように書き表す語は,前述した語例のほかに,
などの限られた語であり,他は全てオ列長音と考え「おう」と書き表す。
この記事は,画面の幅が1024px以上の,パソコン・タブレット等のデバイスに最適化して作成しています。スマートフォンなどではご覧いただきにくい場合がありますので,あらかじめご了承ください。