言葉のてびき
教育出版株式会社 編集局
Q17
「鼓」は「つづみ」か「つずみ」か
「鼓」は,現代仮名遣いでは「つづみ」と書き表す。
昭和61年7月1日告示の「現代仮名遣い」の「第2 特定の語については,表記の慣習を尊重して,次のように書く。」の中に,
5 次のような語は,「ぢ」「づ」を用いて書く。
(1)同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」
例ちぢみ(縮)ちぢむちぢれるちぢこまる
つづみ(鼓)つづらつづく(続)
つづめる(約)つづる(綴)
[注意]「いちじく」「いちじるしい」は,この例にあたらない。
と,示されている。
「現代仮名遣い」は,「前書き」に「1 この仮名遣いは,語を現代語の音韻に従って書き表すことを原則とし,一方,表記の慣習を尊重して一定の特例を設けるものである。」と記し,原則として「じ」「ず」を用いることにしている(「ぢ」「づ」は「第2に示す場合にだけ用いる」とされている)。
したがって「つづみ」の「づ」のように同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」は,「ぢ」「づ」と書き表す慣習が定着した,特例とみなされているわけである。
ただし,注記にあるように,「いちじく」「いちじるしい」は,歴史的仮名遣いでも,「いちじく」「いちじるしい」と書き表しており,同音の連呼とは認められず,現代仮名遣いの原則にのっとり,「いちじく」「いちじるしい」(結果として歴史的仮名遣いと同じ。)と書き表すわけである。
なお,Q15(「鼻血」は「はなぢ」か「はなじ」か)で述べたように,二語の連合によって生じた「づ」も,「ず」ではなく「づ」と書き表すわけであるが,その語例として「現代仮名遣い」に掲げられているものは,次のとおりである。
おこづかい(小遣) あいそづかし わしづかみ こころづくし(心尽)
てづくり(手作) こづつみ(小包) ことづて はこづめ(箱詰) はたらきづめ みちづれ(道連) かたづく づく(小突) どくづく もとづく うらづける ゆきづまる ねばりづよい
つねづね(常々) つくづく つれづれ
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