言葉のてびき
教育出版株式会社 編集局
Q19
「おはなしする」は「お話しする」か「お話する」か
昭和48年6月18日告示「送り仮名の付け方」(昭和56年10月1日,「常用漢字表(じょうようかんじひょう)」の制定に伴い一部改正)の通則4の本則に,
とあって,「動き・当たり・狩り・憩い・近く,暑さ・明るみ・惜しげ」などの例を掲げている。そして,その例外として,
次の語は,送り仮名を付けない。
謡 虞 趣 氷 印 頂 帯 畳
卸 煙 恋 志 次 隣 富 恥 話 光 舞
折 係 掛(かかり) 組 肥 並(なみ) 巻 割
と,例示の中に「話」を含めている。「卸」から「舞」までの11例は,「常用漢字表」に名詞形と動詞形の両方の音訓が掲げられているが,名詞形の語には送り仮名をつけないとするグループである。
さて,「おはなしする」を「お話する」と書こうとする立場は,「送り仮名の付け方」の通則4の例外に該当するという考え方に基づくものである。もし「はなし」を名詞であると考えるならば,当然それでよいわけである。
しかし,「おはなしする」の「はなし」は,「お聞きする」「お送りする」「お尋ねする」「お待たせする」「お騒がせする」を考え合わせると,名詞と考えるよりも動詞の連用形と認めたほうが妥当である。したがって,教科書では,「話す」の連用形「話し」の形とし,「お話しする」と書き表している。
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「送り仮名の付け方」の取り扱いについて
昭和48年6月18日に,文部省初等中等教育局長から,各都道府県教育委員会・各都道府県知事あてに通知された,「学校教育における『当用漢字音訓表』及び『送り仮名の付け方』の取り扱いについて(通知)」の必要部分を参考まで掲げる。
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