言葉のてびき
教育出版株式会社 編集局
Q26
「離れる」と「放れる」はどう使い分けるか
まず,二つの漢字の意味から考えてみよう。『角川漢和中辞典』(角川書店刊)によれば,「離」は,「ばらばらになる」「とおざかる」「わける」「ひらく」「さる」「そむく」などの意味をもつのに対して,「放」は,「ときはなす」「ゆるす」「おいやる」「ほしいまま」「うっちゃっておく」などの意味をもっている。
また,この二つの漢字の含まれた熟語をそれぞれ挙げてみると,
「離」......離脱・離反・離別・離陸・別離・分離 など
「放」......放任・放言・放浪・放免・解放・奔放 など
がある。
これらのことから,「離れる」を使った場合には,「元のものとの距離が広がる」ということに重点が置かれ,「放れる」を使った場合には,「分かれて動いた結果,元の束縛から解放される」という意味に重点が置かれることがわかる。したがって,「離れる」「放れる」の使い分けを具体例によって示せば,次のようになる。
「離れる」「放れる」はいずれも自動詞であるが,これと対応する他動詞の「離す」「放す」についても,同じことがいえる。
「はなれ島」を「離れ島」,「はなれ馬」を「放れ馬」と書く理由も,その「はなれ方」が異なるからである。「離れ島」は,ただ距離があることに重点が置かれているのに対して,「放れ馬」は,束縛から解かれて自由になるところに重点が置かれている。
「親元をはなれる。」という一文についても,「親元を離れる。」と,「離」をあてた場合と,「親元を放れる。」と,「放」をあてた場合とでは,同じような意味上の違いが現れる。
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