学習の最後に「振り返り」を取り入れようと思いますが,その役割がよくわかりません。
【答え】
「振り返り」は「見通しをもつ」と「学んだことを確認し,次へつなげる」二つの役割があります。「振り返り」は「見通し」とのセットで考えます。
【なぜ】
「振り返り」というと「学習の最後にする」「その時間だけのこと」と,考えていませんか。「振り返り」には,二つの意味があります。
『前時の振り返りをもとに本時の見通しをもつ⇒本時の振り返りをする⇒そして次の学習へつなげる』です。
指導案でよく見かける「前時を想起する」。このことが「振り返り」であり,解決の見通しをもつための大事な活動です。それにも関わらず若いころの私は,本時の活動のきっかけ程度にしか考えていませんでした。一つ一つの言葉と,その意味を深く考えることの大切さを学びました。
新しい課題に向き合うときは,「この考え方を使うと解決できるかな」とこれまでに学習してきた既習事項を振り返ります。前時までの学習をよりどころにして解決の見通しをもつのです。
また,学習の最後には,この時間にわかったことや次に解決したいことなど今日の学習をもとに,自分についた力を確認します。
ですから「振り返り」には本時の「見通しをもつための振り返り」と「本時の学習を振り返る,振り返り」との二つの意味があり,見通しとセットで考えることが大切なのです。
【方法】
算数を例にして考えてみましょう。
問題を提示して「さあ,どのように考えたらいいかな。これまでに学習したことを使って考えましょう。」と声をかけます。子どもたちは,おはじきなどの具体物を使って考える,絵や図を書いて考える,式を立てるなど既習の方法や事項を使って考えます。取り組みが難しい子どもには,前の時間にはどのようにしたかな。と前時を想起させて手がかりとします。
具体的にはノートを見返し,前の解決方法をもとに本時の課題の解決の道筋を見通します。ですから「振り返り」と「見通し」はセットで考えるのです。