音楽専科をしています。子どもとのかい離も感じはじめ,授業がうまくいきません。
【答え】
子どもを知る,授業改善を図る,この二つの視点からこれまでの取り組みを見直します。
【なぜ】
今,求められている授業とは子ども主観です。技能を伴う音楽科での授業は,歌うこと,楽器を演奏すること,音楽をつくることなど技能指導中心の授業と子ども自身が考え創造する授業との両輪です。技能指導を意識し過ぎると教師主導のままで授業が進み,子どもは教師の指示通りに活動するだけの授業に陥りやすいのが現状です。これでは自分の思いや考えをもつ,それを表現する,友達と高め合い,自分や自分たちの力で音楽をつくり出す,学習の喜びを実感することは難しいでしょう。
私は,40年以上の教師生活の中で担任と専科との両方を経験してきています。これはとても幸せなことだと感謝しています。なぜなら,上記のように音楽の指導は他の教科と違う特性があり,指導が教師主導に偏りやすいのですが,担任として他の教科の指導を経験してくると音楽科の授業だけの時より,子どもが主役の授業づくりの視点が広がり,子どもの見取りもより深くなっていました。
教科の特性だから他の教科とは違うという思い込みは危険です。教科を通して子どもを育てるのですから,授業の作り方はどの教科でも同じだと考えます。音楽という教科だけを見ていては,時代が求める子どもに力をつける授業ができるようにはならないと考えます。
【方法】
まず学級の授業を見ましょう。学級の授業では,担任と子どもとのやり取りから,信頼関係の築き方を見取ります。そして授業の核となる子どもが力を付ける過程において,意欲や集中力や頑張りなど一人一人の実態を見取ります。また一人一人の理解ができるようになるまでの時間の違いも見ておきます。さらに学級全体での高め合う姿を見取ります。
このような視点で子どもたちと担任との関係を見ていると,授業における子どもの見取り方について気づきが生まれます。目の動きや表情など思わぬところに子どもの学習への意欲や満足感を見取ることができるからです。
そして,ここが肝心です。担任と密にコミュニケーションをとることです。授業中気になることなど日々の気づきを報告し合います。なぜなら,担任との協働が子どもに力をつけることの基盤となるからです。
さらに校内の重点研究会のテーマで授業公開したり,他の教科の授業をみたりして校内の人たちと協働で授業改善を図ることが重要です。授業をみる視点を次に挙げました。
- 子どもの「何を」「どのように」見て,子どもの思いを見取っているか
- 子どもの思いをどのように把握しているか
- 子どもの思いをどのように授業に生かしているか
- 友達同士で高め合う学習とはどのような授業か
- 一人一人の力をどのように評価しているか
- 学年会での子どもに力をつけるにはどのような工夫をしているか
チームで育てる学校教育。学校全体の中での一員としての意識をもち,教科の枠を取り払って授業改善に取り組みましょう。