☆コラム 名簿を工夫する ~書き込む内容と形式を考えます~
○書き込む内容について考えます。
名簿は日々のその瞬間での出来事を記載しておきます。瞬時での記録ですから,記号化や自分だけにわかる図化でもよいでしょう。そこには「事実」と「自分が感じたこと」の両方を書き込むことがあると思いますが,その際重要なことは,この二つを分けて記載することです。
なぜなら,時間が経ってくると強く印象に残ったこと以外は記憶が薄れていきます。事実なのか事実から自分が感じたことや考えたことなのかが混同してしまい,その時の子どもの姿が曖昧になる場合もあります。
さらに○○の指導により,それがその場で改善されたのか,継続して指導する必要があるのかも含めて,今後の重要な資料になるので正確に記録することが生きた資料になります。大切な記録がよりよく生きるよう,必ず分けておきましょう。記録の方法は,欄を分ける,語尾を工夫する,色を着けるなど自分にわかりやすく使いやすい方法を工夫しましょう。
また,記録をパソコンに整理しておく方法もありますが,改めて書き直すと時間もかかりますし,毎日のことで負担にもなります。まとめて後でなどと考えているうちに「やらない」ことになってしまいがちです。自分の仕事状況や活用しやすさを見通して,方法を決めましょう。いずれの場合も個人情報を安全に確保できる,自分に合った方法を考えることが重要です。
一つに絞り込んで形を考えることにこだわり過ぎていると,記録すべき機会を逃します。取り組んでうまくいかないときは,違う方法を考えるなど,また工夫すればよいのです。実態に即して工夫を重ねることで仕事の力もついてきます。
○形式について考えます。
40年以上前の初任の頃から今まで,学校で使われている名簿の形式が変わっていないことが気になっています。形式は一様で,一枚の紙に収められています。全体を一覧できるよさはありますが,多くはマス目状で径が狭く欄も小さく,一人一人について記録する名簿としては不向きだと感じています。この形式は数値化したときの数字を記入するための形でしょう。
時代は変わっています。子ども一人一人の姿を見取り記録するのですから,数値だけでは具体的で正確な記録とはならないでしょう。いうまでもなく評価は評定とは違います。同じBと評定しても,力のついた状況は一人一人微妙に違います。それを見取るのが評価です。評価とは一人一人の伸びを見取ることです。点数や記号だけを記録しても「十分評価した」とは言えないと考えます。評定とともに文章での記述があれば,より明確に一人一人を評価できるのです。
ですから,そのために評価を記録する名簿は今までの一覧表を見直し,一人一人の評価を記録できる形式を工夫することが必要だと考えます。
学級の人数は20数名から40名弱までと幅広いでしょう。それぞれの実態に合わせて工夫してみてください。少人数の場合は一人一枚のカルテ形式も活用しやすいでしょう。
子どもたちの育ちのために用意する名簿です。学校として統一した形式での提出用の名簿とは別に,用途を考えた名簿を作りましょう。何事も定番や慣例にとらわれず,甘えず,自分なりに工夫して取り組む姿勢をもち続けることが未来を育てる教師の心意気ではないかと思っています。