保護者とよい関係を保っていくために,大切なことはなんですか。
【答え】
信頼を得られるようになりましょう。そのためには,保護者の願いと教師の願いとの違いやずれに気づきましょう。この願いとは,お互いが感じる,考える満足感です。
【なぜ】
教師は学級の全員を見ていますが,保護者の方は自分の子どもだけを見つめています。ですから保護者の方は,わが子にどれだけ心を砕いてくれているのか,わが子の成長に即した適切な指導がなされているのか,それによってわが子はどれだけ成長しているのかを期待しているのです。
3年生の担任として,学年初めの懇談会を開いたときのことです。最後に一人の保護者の方が発言しました。「毎年先生が替わっても,うちの子どもはいまだに鉛筆が持てなくて,字がうまく書けない。これまで何回お願いしても変わらなかった。今年もあまり期待はしていません」と。正直驚きました。懇談会では一年間でつけたい力などについて話をしました。しかし,保護者の方の願いは,自分の子どもの切羽詰まった日常のことなのです。
その場で全員の方に,鉛筆の持ち方「ロケット鉛筆」を紹介しました。あっけないほど簡単に正しい持ち方ができる方法に,皆さん驚いていました。翌日子どもに指導し,すぐ持てるようになり,字が書きやすくなったことは言うまでもありません。その後,卒業するまでこの保護者の方は私のことを「うちの子どもの鉛筆の持ち方を直してくれた先生」と,呼んでいました。
教師の考える願いと保護者の方の願いとのずれに気付いて指導に取り組む大切さを再認識したできごとでした。教師の願いと保護者の方の願いには,ずれがあるのです。そして,願いの中身は,一人一人に違いがあります。そこに気付いて子どもの指導に取り組むことが,保護者の信頼を得ることにつながると考えます。
【方法】
保護者の満足感を知っていますか。一緒に考えてみましょう。
<子どもの指導に対する期待>
わが子によくしてくれているか。
情意面・危機意識
・友達関連集団における存在感や居場所・満足感
学力面わが子にとってわかる授業をしてくれているか。
わが子の学力向上を見える形で日常的に表現してくれているか。
<保護者自身への理解や支援に対する期待>
(1)自分の話をいつでも,十分聞いてくれる。
(2)自分の味方になってくれる。
(3)自分の教育方針や生活習慣を批判しない。
(4)自分を認め・褒めてくれる。
(5)自分の立場を理解してくれる。
(6)他の保護者と比較しない。