☆コラム 残念な個人面談にしないために
個人面談は保護者の方と「話し合う」機会です。子どもに寄り添い,温かく見守ってくれていることを感じることができると保護者は先生を信頼します。
「面談してよかった」と思われる面談にするためには準備が大切なのです。
(1)「それ,本当にうちの子どものことですか。」~資料は正確に~
面談は,子どもの学校での生活や学習での様子を先生と保護者とが話し合うことを通して,子どものより良い育ちを目ざすためのものです。そのためには,いくつかの気をつけたいことがあります。
一つは資料の正確さです。「正確」とは,行動の背景にあることも含めています。
子どもの成長を伝える面談ですから,まずは育ってきたよいところを具体的に伝えます。普段からよい点をできるだけ多く記録しておきます。
育てたい課題を話題にするときには,資料の正確性に,特に気を配ります。他の子どもとの関わりがある場合などは,関係性を正確に把握しておくことが子どもをよい方向に育て,信頼につながる資料となります。
子どもの問題点を突き詰めるためではありません。子どもに「なぜこのようなことが起きたのか」「何を」「どのように」指導するのかを考えるために整理するのです。単に問題の状況を伝えるだけでは,子どもの育ちは望めません。
また,曖昧なことは話題にしないことです。信頼を失い,今後の関係や指導に大きく影響します。
(2)面談は話し合い話を聴く姿勢をもちましょう。
学年の先生から,面談の在り方について相談を受けたときのことです。
「Aさんは,つぶやきも発言も多く学習には喜んで取り組むけれど,教科書やノートの忘れ物が多い。忘れ物がないようにご家庭でもよくみてくださいとお願いした。しかし,未だに忘れ物が続いているのです。」
子どもの現状を何とかよい方向に向けようとする先生の気持ちはわかりますが,面談は解決に向かうための話し合いです。「お願い」だけにとどまっていることが問題なのです。
家庭での取り組みについて聴き,そこから忘れる理由を探り,解決策を考えます。まずは次の3点について聴きましょう。
○時間はいつ?
○方法は理解している?
○確認しているのは,誰?
学校では,決まった時間に用意するよう指導していますが,家庭によってその時間はまちまちです。なかには時間を決めず子どもに任せている家庭もあります。寝る直前に用意する子どももいます。時間を聴いただけでも「忘れるのは当然」と思える実態がみえます。家庭の生活リズムに合わせて時間を決めることを薦めましょう。忘れずに持ってきたときには必ず褒めましょう。
方法は,時間割や連絡帳を見て揃えますが,忘れてくる子どもの現状は連絡帳が書いてなかったりすることが少なくありません。時間割表を机のそばに掲示する,ランドセルにも入れるなど改善策を提案できます。連絡帳の記入は学校でも指導することを約束します。
そして,確認です。子ども自身が自分で用意し,自分で確認する習慣を目ざしていますが,時には大人の目で確認することが忘れ物をなくすだけでなく,用意の時間や方法をも見直すよい機会になります。
このような取り組みを重ねていくと,学習用具の用意だけでなく,今後の生活での全ての場面に共通する「自分で用意し,確認する力」につながると考えます。
さらに,忘れ物の原因には,子どもの気持ちに起因することもあります。家庭での様子や学校のことをどのように話しているかなどよく聴いて,より良い方向を考えましょう。
若いころ,私は,面談でほとんど保護者の方のお話を聴くことなく,自分の話だけに終始してしまい,後から「家庭ではどのような様子だろう。聴いておけばよかった。」と後悔したことがありました。自分の思いだけでは指導はできないと気づきました。
面談を指導に生かすためには,保護者の方からのお話を聴く姿勢をもちましょう。
(3)落ち着いて丁寧な言葉で話しましょう。また,服装にも気を配ります。
話の内容に関わらず,丁寧な言葉で話しましょう。友達のような言葉遣いでは,敬遠されてしまいます。乱暴な言葉遣いでは威圧感を与えてしまいます。
言葉は人の心を表すといいます。真摯な気持ちで対面したいと思います。
また,服装にも気を配りましょう。服装は,その人の考え方や生き方など人となりを表します。流行だからよいとは思いません。指導者として信頼を感じられる,清潔な服装を心がけたいですね。