第2回 スモールトークの実践
ツッコミクエスチョンで膨らませるSmall Talk
〜帯活動としての"Activities Plus"の活用例〜
加瀬政美 (千葉県旭市教育委員会 外国語教育アドバイザー)
1 会話のキャッチボールを本音で楽しむ
『小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック』には、次の2点がSmall Talkを行う主な目的として設定されています。
(1)既習表現を繰り返し使用できるようにしてその定着を図ること
(2)対話の続け方を指導すること
中学校の英語の授業においてペアで伝え合う際にも、上記のSmall Talkの目的をいかすことができるでしょう。各学年教科書の巻末に設けられているActivities Plusは、帯活動でご活用いただくための素材として有効です。
ここでは1年生の教科書のActivities Plus 2(pp. 134-135)で即興のチャットやスピーチを行うTopics for Speakingのコーナーを例にとり、豊かなやり取りを促進するための案をご紹介します。
2 「ツッコミクエスチョン」で興味深く!
『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編』には、会話を継続・発展させるために必要なこととして、次の4点を挙げています。
① 相手に聞き返したり確かめたりする。
② 相づちを打ったり、つなぎ言葉を用いたりする。
③ 相手の答えを受けて、自分のことを伝える。
④ 相手の答えや自分のことについて伝えたことに「関連する質問」を付け加える。
ここでは話題(Topic)を"Free Time"に設定したやり取りの例を2つ見てみましょう。
❶では確かに相手からの質問にその場で適切に応答し、「関連する質問」をして会話を継続させていますが、さらに会話を膨らませて❷のようなやり取りを目指したいところです。
「関連する質問」を即興で加えることを、ここでは「ツッコミクエスチョン」と呼んでいます。ツッコミクエスチョンがあるからこそ、生徒は相手の発話に興味をもって耳を傾け、相手に対しての「謎解き」のような関心をもって主体的に取り組む姿勢を養えます。
この活動を実践するときには、生徒に「初めて聞いたワードをしっかりつかもう。」と伝えます。初めて聞いた情報に興味をもち、さらに深く聞く意識が大切です。さらに教員がツッコミクエスチョンを強調したモデルを見せ、生徒によく観察させましょう。「教え込む」「文字でヒントを与える」のではなく、自分のやり取りと何が違うか、自分で気づき、やり取りのなかで自ら修正させるのがポイントです。
また、教科書外の話題を扱う場合には、"Japanese Events(日本の行事)"がお勧めです。誰でも公平に興味をもちやすく、小学校でも「日本の文化を紹介する活動」に取り組んでいますので、生徒にとって自分の気持ちを英語で話しやすい話題と言えるでしょう。他の話題を探す場合も、同じ観点で選びましょう。
Japanese Eventsではツッコミクエスチョンを用いて、以下のようなやり取りができるといいですね。
ぜひ、Activities Plusをご活用いただき、既習表現の定着に加えて、「関連した質問」でコミュニケーションを深め、楽しく豊かな対話になるようなSmall Talkの実践になることを祈ります。
【引用文献・参考文献】
①文部科学省:『小学校外国語活動・外国語 研修ハンドブック』(2017)
②文部科学省:『中学校学習指導要領(平成29年度告示)解説 外国語編』(2017)
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