2.黒板の文章を写すのにすごく時間がかかる子ども
時間がかかる原因を考えてみましょう。
(1) 一文字ずつ見て書くなど,文のとらえ方・見方,写し方に課題がある。
(2) 紙面のどこに書くのか,書く場所がわからない。
(3) 鉛筆の持ち方に課題がある。
(4) 時間の中で作業する習慣が身についていない。
(5) 視覚に障害がある。
(1) の子どもへの指導は,言葉や文を覚えて書くことを指導します。まずは言葉のまとまりを捉えて読むこと。次にそれを覚えて書くことを指導します。
- 例えばあしたのもちものはたいそうぎとおべんとうを写します。
- ⇒あしたのもちものはたいそうぎとおべんとう
- ⇒あしたのもちものはたいそうぎとおべんとう
(2) の子どもへの指導は,ノートにガイドになる線や枠を書く支援をします。
書き方の手本を見せるだけでは,子どもには伝わりません。手本と自分のノートの紙面とを比較しどこに何を書くのか,見方がわかり書くことができるようになるには個人差があります。見方に慣れることで書けるようになります。慣れるまでは繰り返し継続して支援します。
(3) の子どもへの指導は,ロケット鉛筆の持ち方を指導します(鉛筆の持ち方の項を参照してください)。
鉛筆の先が手の内側に入り込み,今,書いている文字が見えていない状態のままで書いていることがあります。持ち方の指導をする時に,正しい持ち方をすると書くときに文字が見えることを知らせます。保護者の方にもご協力いただくと,より早くできるようになります。
(4) の子どもへの指導は「○○の時間までに終わらせよう」と時間を決めて取り組ませます。帰りの仕度や着替えなど生活面をも含めて取り組み,時間への意識をもたせましょう。「時間をかければできる」のと「時間の中でできる」のとでは意味が違います。全体の中での一定の時間でできるように指導します。置かれた環境の中で友達と共に生きる,生き方を学ぶ,それが学校で学ぶ意味だと考えます。
参考資料です。立体が平面に見える視覚障害がありました。子どもも保護者も気がついていませんでした。図形や文字の指導をしても形を見取る力がつかないので,指導に悩んでいたある日,大きな岩から飛び降りる姿を見かけました。危険だからと指導しても「こんなの平気」と。話の様子から「見えていないのかな」と感じ保護者の方に相談し診断を受けました。子どもの努力や教師の指導では解決できない原因もあります。