5.常時足元に持ち物が散乱している子ども
☆気になる子どもの5,6,7の三つの項の子どもには,事象は違っていも一見共通した原因があるようにみえます。例えば持ち物が多すぎること。要るもの要らないものの区別がつかないこと。片付け方がわからないこと。片付けを自分でして来なかったのでしなくてもよいと思っていること,などです。ですから,片付け方の指導さえすればどの子どもも大丈夫! と考えがちですが,視点を変えてみるとそこには特徴的な原因が見えてきます。そこで,項目ごとに原因を焦点化して考えます。
持ち物が散乱している原因を考えてみましょう。
(1)散らかっていることが気にならない。
(2)散らかっていると落ち着く。
(3)誰かが片付けてくれるから,自分はやらなくてもよいと思っている。
(4)片付いた心地よい環境のよさを知らない。
(5)常に散らかった環境で生活している。
(1)(2)(3)は子どもの声です。特に(2)は,私も驚きました。足元に荷物を置くなど散らかっている方が落ち着くという感覚は,生活環境が影響しているのかと想像しますが,必ずしもそうとは限りません。整然とまでは行きませんがご家庭によっては,気持ちよく片付いている場合もあります。ただ共通して言えることは,子どものコーナーだけは常にものが散乱していること。お家の方が片付けている例も少なくありません。
また「片付けなさい」と声はかけても子どもだから仕方がない,どのように育てたらよいか方法がわからないなど,気にはなってもついそのままになってしまっているという声もありました。
片付けは家庭教育と思われがちですが,たとえ自分の周りだけとはいえ人と共に生活する空間です。散らかしているという状況を認めるわけにはいきません。なぜなら教室は公共の場です。社会生活をしていくうえで,何をするにも他者に迷惑をかけないことが必須です。
まず,人に迷惑をかけていることへの気づきをもたせます。そして,公共の場(教室)では自分にとって心地よいことでも他の人にとって迷惑になることはしてはいけないことを指導します。
それと並行して,足元に物があると危ないという安全面と,床に物を置くことは不衛生だという衛生面との二点を早急に指導します。なぜなら地震や火事などの緊急時に避難を妨げることになるからです。