7. 「ドリルがない」「教科書がない」など,頻繁に忘れ物やなくし物をしている子ども
☆気になる子どもの5,6,7の三つの項の子どもには,事象は違っていも一見共通した原因があるようにみえます。例えば持ち物が多すぎること。要るもの要らないものの区別がつかないこと。片付け方がわからないこと。片付けを自分でして来なかったのでしなくてもよいと思っていること,などです。ですから,片付け方の指導さえすればどの子どもも大丈夫! と考えがちですが,視点を変えてみるとそこには特徴的な原因が見えてきます。そこで,項目ごとに原因を焦点化して考えます。
忘れ物やなくし物をしている原因を考えてみましょう。
(1)用意する習慣が身についていない。
(2)遊びと学習用具との区別ができていない。
(3)使った物をもとに戻す習慣が身についていない。
(4)なくても大丈夫だと思っている。
忘れ物を防ぐには,仕度の時間を決めておくことが重要です。連絡帳に書いてあるにもかかわらず忘れるのは,仕度する時間が決まっていないためなのです。仕度の時間が寝る間際や朝の出がけでは,ぼんやりして見間違えたりしても気がつきません。また見つからないものがあっても探す時間がないのです。
事前に用意しなければ家庭にはない物もあります。急では揃わない物もあるのです。仕度の時間は,子どもの家庭生活に合わせて決めることが実践に結びつきます。お家の方が一緒に確認できる時間を仕度の時間とします。
家庭での様子も気になります。自分の物を置くコーナーは学習用具と遊び道具を分け,学習用具中心のコーナーになるよう家庭の協力もお願いしましょう。
一方,なくし物が多い場合は使った物をもとに戻す習慣を身につけることが自分でできるようになる道です。元に戻さないと,物はあちらこちらに置きっぱなしになり,時間と共に無くなっていきます。
当然,使うときにはどこに置いたのか場所もわからなくなり,物そのものもなくなっていることがあります。ドリルや教科書は日常的に使いますが毎時間同じものを使うわけではありません。ですから,使ったらもとに戻すことが習慣づいていないと,持ち物を見失うことになるのです。常に探し物をし続けることになります。使うことと元に戻すこととは連動しているのです。
また,しまう場所が決まっていないことも見つけられない原因となります。どこにしまうのか教室では教科書やノート,その他の文具類など箱を使うなどして入れる場所を決めています。入門期でこの習慣をつける取り組みをしています。しかし,自分で片付ける習慣がない子どもにとっては,収納以前に物をしまうという意識がないのです。また,誰かが元に戻してくれるなど自分で元に戻す経験がないこともあります。一つでもよいので,もとに戻す物を決めて,「これだけは使ったらもとに戻す」ことを習慣化していくと,他の物も自分から元に戻そうとする意識が育ってきます。