8.掃除や給食など,当番活動に取り組めない・取り組まない子ども
当番活動に取り組めない・取り組まない原因を考えましょう。
(1)自分の役割がわからない。
(2)当番の仕方がわからない。
(3)当番をする大切さを理解していない。
当番に取り組めない原因には,自分の役割がわかっていないことと,方法がわからないこととが考えられます。役割がはっきりしていると一人でも取り組むことができますが,役割が曖昧ですと何をしてよいかわからず「さぼっている」とみられ,他の子どもから不満が出たり,もめたりすることがあります。
一方,取り組まない原因には,当番をする意味を理解していないことが考えられます。自分のことは自分でする習慣や意識がないため,「自分事」にならないのだと考えます。そこで,役割のはっきりしている給食当番と曖昧になりがちな掃除当番の指導について考えます。
給食当番は役割が個人で決まっていて,何をするのかがわかりやすいため仕事に取り組めないことはないでしょう。ただ,家庭での経験などにより仕事の速さは子どもによって違いがあります。手際よく終える子どももいれば,戸惑いながら仕事をするために時間がかかる子どももいます。遅いからといって,当番をさぼっているわけではありません。当番を経験していくうちに慣れて,できるようになってきます。
しかし,掃除当番は少し事情が違う気がします。「1班は箒。2班は雑巾です。」など箒や雑巾の役割を班ごとに割り当てていると思います。一見役割が決まっているように見えますが,役割は班単位で個人ではないため自分が何をするのかは曖昧です。また箒は持つものの「どこを」「だれが」「どこへ向かって」履いていくのかが具体的には示されていないため,掃除の仕方も曖昧になりがちです。何となく周りを見てお互いに同じ方向に箒を動かす子どももいれば,違う方向に履いていく子どももいます。すると「何してんの」などと声があがり,違う方向に履いていた子どもたちは掃除をしていたのにもかかわらず「文句を言われた」と不満を感じます。時には掃除をやめてしまうこともあります。
そこで,まず,個人の役割を明確にしましょう。班ごとに箒や雑巾の役割を決めた後,個人が掃除する範囲を決めます。「○○さんは,ここからここまで」と範囲を決めると役割が明確になるだけでなく「ここはきれいにする」と責任感も育ちます。
次に,掃いたごみをどこに集めるのかを具体的な場所を示して指導します。できるだけ掃いていく距離を短くしてごみを集める方が,子どもにはやりやすいようです。長い距離を掃いていくと,途中でごみを見失っていきます。床を撫でているだけになってしまい教室はきれいにはなりません。
そして,掃除をする意義を指導します。健康に生活できるよう,自分たちの生活の場は自分たちで清潔にすること。そのためには,協力して掃除をすることが大切であることを指導しましょう。