9.友達の悪口ばかり言う子ども
悪口を言う原因を考えてみましょう。
(1)悪いところを言われ続けている。
(2)認められ褒められる喜びを味わっていない。
(3)認め合う環境がない。
(4)友達とは大切な存在であることへの育ちが十分でない。
(5)思いやりの意味がわかっていない。
(6)満たされない気持ちを悪口を言うことで発散している。
まず,褒められ認められる喜びを味わわせることです。人は誰でも褒められたい・認められたいと思っています。特に一年生は,入学して初めての仲間のなかで無意識のうちに自分の位置を探り感じています。自分が自分がと前に出る一年生。褒められたいのは当然です。先生に褒められることは最大の喜びなのです。誰かが褒められると自分も褒められたくて,誰かの悪口を言うこともあります。自分の方がいい子だと言いたいのです。
よいところをみようとする意識は,よいところを言葉にすることで育ちます。
一人一人のよいところをまず先生が言葉にして伝えましょう。今日はこの班のみんなのよいところを紹介しますなど,一度にできなくても必ず全員を紹介することが大事なのです。その際,今日は1班,次は2班というように必ず自分も紹介されるという保障が必要です。誰もが納得いく順番を考えて紹介しましょう。
慣れてきたら,自分たちでよいところを紹介し合えるように活動を工夫します。例えば,帰りの会などで友達のよいと思った行動を紹介する,よいところを見つけてカードに書いて交換するなど,子どもにわかりやすい継続しやすい方法を工夫しましょう。
さらに,友達の大切さについては,まさに学んでいくところです。一年生の子どもは,まだ自分のことだけしか認識できません。他者,友達への認識や意識が働くのはこれからです。発達段階でのよい機会として捉え,友達のよいところを見つけることを通して,友達がいる楽しさや友達の大切さを感じていかれるようにしましょう。
思いやりの意味を話してみることも有効です。子どもたちに思いやりとは何かを問うと,必ず返ってくる答えが「友達が困っていたら助けてあげる」です。思いやりとは自分が優位に立ち,下位の友達を助けることではありません。自分がされてうれしいことを友達にもする。されて嫌なことは友達にもしないことです。特に前者が見逃され,マイナスな感覚が思いやりへのイメージをつくっているように感じます。物事はよい方向に考えることが生き方の基本です。子どもたちには是非「プラス思考」を育てたいものです。それが,よさを見ていこうとする心を育てることにつながるからです。