子どもどうしが認め合い・高め合う,「共に育つ学級づくり」を目ざしていますが,うまくいきません。何をもとに考えるとよいのでしょうか。
【答え】
授業を核として,リーダーを5人創りましょう。
授業で活躍する「こんな子どもに育てたい」と考える要素をもつ子どもをリーダーとして選び,リーダーを核に学級経営に取り組みましょう。
ただし,学級づくりは,教師が児童一人一人と心を結び合い,信頼し合うことが基盤です(『そよかぜ通信2012春号』参照注)
リーダーの存在は,教師の心の中においておき,リーダーの子どもたちにも,他の子どもたちにも,リーダーの存在を気づかれることのないよう,細心の注意を払って取り組みましょう。子どもの中に「ひいき」の気持ちが生まれてしまっては,本末転倒ですから。
【なぜ】
リーダーとは,教師が育てたいと考える思考性や行動力の芽をもつ子どもです。もちろんリーダー自身を育てることは言うまでもありませんが「子どもは子どもどうしで育つ」と考えます。学級の中に,なりたい具体的な姿が存在することは,子どもどうしが共に育つ環境として,学級経営の柱になるのです。
授業を核にする理由は,指導は授業を核にし,育てたい力や心は,主に授業を通して育てているからです。もちろん当番活動や休み時間での指導もありますが,学校教育で中心となるのは授業であり,学習を通して友達と認め合い,高め合う人間関係を培うのです。
ですから授業で核になる子どもをリーダーとして考えることが,学級経営での重要なカギなのです。
【方法】
リーダーとは,具体的にはどのような子どもでしょうか。
言語活動を通して「考える力」を育てることを重点にしながら,認め合い・高め合う思考性や行動力をもつ子どもの姿を探ってみましょう。
具体的には次の姿を参考にしてください。ただし,理想的な姿として完全を求めてはいけません。人には,ましてや6歳児にそのようなことはありえないからです。たまには忘れ物もする,話しを聞いていないこともある,友達ともけんかをするなど,6歳の子どもとして当たり前の姿を考える中から,リーダーを選びましょう。
リーダーの資質は,年度初めには特に見えにくいものです。見直しをすることも大切です。
育てたい姿を目ざして,よりよい学級づくりに臨んでいても,実際にはうまくいかないことも多々あります。定期的に立ち止まって選んだリーダーを見直すことが,学級づくりへの大切なカギと考えます。
《リーダーとして選びたい子どもの姿の例》
何でも喜んで取り組む
苦手なことにも,「何とか」取り組む
話を聞いている。
やっていることをやめて,話し手を見て聞くことに集中していること。
時々,聞いていないこともあります。
つぶやきが多い
思わず自分の思いを発するなど,反応がよい。ただし,自分の意見に固執しない。
学習の準備がよい
たまに忘れることもあります。忘れたときには,教師に忘れたことを伝えることができる(学級で忘れ物をした時の約束をつくっておきましょう)。
○学級の約束やルールを,守ろうとする
○友達の考えを認める,協調しようとする
○級の子どもたちが認める「よさ」がある
明るい優しい元気がよいなど
○学級の友達に好かれている
○(できればですが)語調が穏やかであること
●リーダーに対する考え方を誤ってしまい,こんな困ったことがありました。
問題を抱える子どもをリーダーとして選んでいる学級がありました。問題をもつ子どもには,より以上の支援や指導が必要ですが,その子どもを気遣うあまり,リーダーとして選ぶという,子どもにあるような学級経営が行われていました。学級全体が落ち着かず,学力向上が難しくなってしまっています。
支援や指導が必要な子どもへの指導を大切に考えることと,学級づくりの核にすることとを,混同しないよう気をつけましょう。
《リーダーとして誤って選んでしまう子どもの姿の例》
●話を聞いていない
●運動には熱心だが,他の教科の学習には集中しない
●特定の友達とだけグループを組む
●教師や友達に対して否定的である
●わがまま勝手で暴力的である