☆コラム 指導のポイント聴く力を育てることのできる教師になるために
「聴く力を育てることのできる教師の力量」として子どもへの話は「1回しか言わない。」ことを意識しましょう。
子どもに話すときは「先生は1回しか話しません。大事なことを落とさず聴いてね。」と,伝えてから話し始めます。
繰り返し同じ話をしていませんか。低学年の子どもには理解できないのではないだろうかと案じて,丁寧な指導のつもりで,同じ話を繰り返している姿が見られます。
「1回では聴き取れませんよ。繰り返し言っても聴いてないし,伝わらないのだから。」との声がありました。本当に低学年の子どもは1回では聴き取れないのでしょうか。
1回という回数を示すことで,子どもは「1回しか聴けない。聴き逃したらわからなくなる。しっかり聴こう。」と聴く意識をもって聴こうとします。これがこの指導のねらいなのです。
何回も同じ話を繰り返すと,子どもは「聴いていなくても大丈夫。先生はまた言うから。」と,聴く必要感をもつことがなくなり,話を聴かなくなります。これでは聴く習慣は育ちません。
「先生は今,何て言いましたか。」「お友達の○○さんは何て言ったかな。」など問い返しの指導と共に,「1回だけ話す」指導をします。『1回だけ話す。「今なんて言った。」と問い返す。』この二つの指導をセットで行うことが重要です。どちらか一つの指導だけでは,十分に力をつけることは難しいのです。
また,指導を始めたばかりのころなど,1回で聴き取ることができないこともあります。そんな時は「友達に聴いてみましょう。」「聴いていた人,教えてあげて。」など,子どもたちの中に返しましょう。聴いていなかった子どもや聴き取れなかった子どもは,応えている友達の姿を見て,「みんなも聴いていた。今度は自分も聴こう。」と意識をもつ良い機会になります。教え合うことで,集団での聴く意識も育ちます
半数以上の子どもが聴き取れなかった場合には,教師自身の話し方を見直しましょう。大事なことを落とさず,わかりやすく話しましたか。子どもの姿は,教師の指導の鏡であることを忘れないで,謙虚に振り返り,指導に取り組みたいものです。
<聴く力と考える力がついていく過程>を次のように考えています。
- 「やっていることをやめて,話し手を見て聴く。」
→まずは,聴く姿勢を育てる。 - 「今,何て言いましたか。」教師が自分の言葉を子どもに問い返す。
→自分で聴こうとする意識や習慣を育てる。⇒聴く力をつける - 大事なことを落とさず聴く。
→「何を,どうするのか。」考えながら聴く。⇒考える力を育てる。
1,2,3の指導は,指導の段階でもあり,繰り返し継続して取り組む内容です。