☆コラム「学級づくりは人間関係づくり」
《学級づくり1》人間関係をつくるためにつけたい力は「聴く力」
学級づくりとは,人間関係づくりをすることだと考えています。
人間関係をつくるというと,思いやりの心を育てるなど情意面での取り組みを思い浮かべますが,つけたい「力」として考えてみましょう。
人間関係をつくるためにつけたい力は「聴く力」です。
学級づくりと聴く力とは,一見乖離しているように思われますが「聴くこと」とは,知識や情報を得るための行為にとどまらず,相手の考え方から人間性までを丸ごと受け止める,認める行為「受容と共感」までをも含むことと考えます。
例えば教師の話を聴くということは,その教師を受け入れ,信頼するということであり,友達の話を聴くということは,その友達を受け入れ仲良くしようとすることにつながります。「あ,そうなんだ」「自分と同じだな」「なるほどね」と,聴くことから関係づくりが始まり,その積み重ねが「受容・共感」の人間関係を築いていきます。
自分と違う考えであっても,まずは,友達の考え方を受け止め,何を伝えたいのかを考えわかろうとする,考え方だけでなく人間性丸ごとをも受容する「聴く力」とはここまでをも含む「力」と考えます。
ですから,人間関係づくりをすることは,「聴く力」をつけることであると考えます。
《学級づくり2》人間関係づくりは,「縦糸を結ぶ」そして「横糸を紡ぐ」
教室内の人間関係は,教師と子ども一人一人,子ども同士との二方向あると考えます。
例えば,教師と子ども一人一人との人間関係を縦の糸と考えます。教師と子どもとを結ぶ信頼関係の糸です。入門期は他学年と違い特別な指導内容があり,教師の価値観を示して指導することが多く,しかも,教師を学校生活での拠り所としていることから,教師との結びつきは自ずと強くなり,縦の糸は太く結ばれていきます。ですから,この糸が教師との信頼関係の構築へと結びつくのです。
しかし,教師との結びつきだけでは,学級づくりとして十分とは言えません。なぜなら生活も学習も,子ども同士が互いに認め合う中でこそ,力をつけることができるからです。
子ども同士が互いに認め合う集団であれば,安心して自分の思いや疑問をつぶやくことができます。子ども同士が認め合う「横の糸」を太く育てることが学級づくりでの人間関係づくりに重要なのです。
教師と子どもとの縦の糸は,指導を通して結ばれる機会が多く,太くなりやすい糸ですが,子ども同士の横の糸は,教師の気づきと意識と意図とで紡がれていきます。
子どものつぶやきを意図的に紡ぐ,違う考えも受け止め合えるよう紡ぐなど,子ども同士の横の糸を,学習面だけでなく,生活のあらゆる場面をも意識的・意図的に紡いでいきましょう。
子ども同士が認め合い,学び合い・高め合う学級づくりのために,横の糸を太く紡ぎましょう。