☆コラム [Step by Step]の特徴は,「なぜ」にあります。
このシリーズは,指導方法のアイデアを伝える「ノウハウ本」ではありません。
まず【なぜ】の部分を熟読してください。そして,先生方ご自身で「本当にそうなのか」とご自身の考えを巡らせて下さい。
指導の方法は,目の前の子どもにより,異なるものです。しかし,基盤となる考え方や価値観は,変わらないと考えます。ですから,なぜこのような指導が必要なのか,なぜこのような方法が適切なのか,「なぜ」を知ることで,「ご自分の考える指導」へと発展していくものと考えます。
ここでの考え方は,私が教師として先輩から指導を受け,同僚との研究を重ねてきた経験と大学院での研究「小学校入門期の学習と教師の力量」とを基盤として,これからの小学校教育に生きる研究を続ける中から考えている内容です。
常に心がけていることは,少しでも新しい情報を得て「今」を考えることです。
時代も社会の要求も変化し,つけたい力への考え方も変化しています。教育の在り方は,その時代に即した内容として変化しています。ですから,50年先を生きる子どもたちへの指導として,かつての経験を語るだけではお役にたてないと考えます。
経験だけに頼るのではなく,これからの教育に生きる指導を考えていくために,自ら学び続ける教育者でありたいと考えます。
私が教師になった40年前には,先輩の先生方と教育について語り合い,先輩たちの経験から生み出された指導,経験カリキュラムが学校の日常の中で自然と伝わっていたように思います。
しかし,今の学校現状では,とても望めないことでしょう。時間に追われ,休日出勤する先生方。とても後輩に教育を語る時間などありません。なおさら,後輩たちは先輩や同僚と教育を語る余裕はないでしょう。
ですから,経験カリキュラムや隠れたカリキュラムが伝わることなく,指導の当り前の部分でさえ,知らない先生方が多くなってきていると懸念されています。
経験をおもちの先生方の中には,「こんな当たり前のことを書かなければならないとは」と嘆かれる方もおられます。教師の世界だけではなく,社会全体に言えることですが,私たちの年代には伝わってきた経験カリキュラムが,若い世代に伝わっていない,または,伝わりにくいといわれています。この年代の一人として「伝えてこなかった責任」を痛感しています。
子どもを愛し,学級経営や授業づくりに真剣に取り組む先生方に,少しでもお役に立てましたら,こんなに嬉しいことはありません。