☆コラム 学習者は先生? 学習のゴールはどこ?
次の授業から二つのことを考えました。一つめは「学習者は子ども」であることを再認識したこと。二つめは「学習のゴールを示す」大切さです。
まず「学習者は子ども」です。
「先生,何をやるのかわからない。」と子どもたちが次々とつぶやいています。先生はそんな声に気づかないのか,授業を進めていきます。
先生は一人で教材文を音読し,「気づいたことはありませんか。発表しましょう。」と声をかけます。が,誰も手を挙げません。
すると「先生がもう一度読みます。」とさらに先生が音読。子どもたちは聴くだけ。「気づいたことは...。」今度は数人の手が挙がりました。さらに先生は「ではもう一度読みます。」と今度は,読み取ってほしい大事な語句を強調して読みました。
さすがに,複数の子どもが手を挙げました。でもその表情は,「わかった」というより「しかたないなあ」という感じです。しかし,先生は満足そうです。
さて,これは「学習」でしょうか。「学習」とは「学んで習得する。自分の力とすること」です。
この例では先生が音読し,子どもは聴く人。これで,学習が実感できるでしょうか。例えば,おいしいご飯も「おいしいよ」と言われても,自分で食べなければ「おいしいを実感すること」はできません。学習も同じです。子どもたちが自分で音読するからこそ「何が書いてあるのか。大事なことは何か。」を自分で気づくことができるのです。
学習しているのは子どもです。子どもが実際に体験し,考え,解決していくことが学びを実感することです。
学習者が先生になっていませんか。再度,自分の授業を見直し,思い当たることがあれば,改善しましょう。
次に「学習のゴールを示す」です。
「何をするのかわからない」という子どものつぶやきは,今何をすればよいのか。目指すゴールが見えていないという子どもからのサインです。
例えば,徒競走のときには,「ゴールはここです。ゴールを目指して,全力で走ります。」と指導します。目指すゴールがわかっているので,子どもは迷うことなく力いっぱい走ります。
では,学習の場合はどうでしょう。教師は「今日のつけたい力はこれ。そのためにこの教材でこのように授業を展開しよう」と単元や本時を計画し,ゴールが見えています。しかし,子どもにはゴールを示しているでしょうか。
1時間ずつ課題を設定し,何をどのように学ぶのか具体的に示すと,子どもにゴールはどこなのか,そのためにどのような活動をするのかがわかります。子どもは自分から考えてゴールを目指して取り組むように育ちます。
子どもに力をつけることができる授業づくりは,今までの授業の在り方を見直すことから始まります。