教室の中が常に騒がしく,落ち着かない状態が続いています。大きな声で注意すると,少し静かになりますが,すぐまた大きな声で勝手に話し始めます。
【答え】
静かにゆっくり,しっとり話しかけましょう。
【なぜ】
子どもたちに話しかけるとき,大きな声で話しかけていませんか。子どもたちの声の大きさは先生の声と比例しているのです。
子どもは,自分の言いたいことを誰よりも一番に伝えたい,そのことに夢中です。ですから,できるだけ大きな声で自分を主張します。友達の声をかき消すように大声を出すのです。一人が大きな声を出せば,ほかの子どもたちも我も我もと大きな声で叫び始めるのです。先生がいつも大きな声で話しているのですから,子どもたちも真似をして,大きな声で話してよいと思っているのです。
このように先生が常に大きな声で話しかけていると,大きな声に囲まれていることが当たり前になってしまい「いつも騒がしい教室」になっていくのです。
「うるさい」「静かにしなさい」と毎日のように先生の声が響く教室がありました。先生が大声で「静かに」と声をかけると一瞬は静かになりますが,2秒もしないうちに前より大声で騒ぎます。当然授業中もこの状態ですから,学年末になっても友達関係の育ちも学力もつかず,「指導困難な子どもたち」と言われてしまいました。
子どものせいでしょうか。先生の責任です。「声の大きさぐらい」と侮ってはいけません。声の大きさに気づかせ,教室の中での話し声の大きさや心地よさを示すのは,「先生の話し声・話し方」なのです。
どれくらいの声の大きさでどのように話しかけるのか,学校生活を始める入門期の指導では,特に意識的に取り組みたいと考えます。
【方法】
できるだけ,静かにしっとり話しかけましょう。
声の大きさは,教室の一番後ろの子どもに聴こえる大きさで十分です。必要以上に大きな声で話すと,耳障りで「うるさい」と感じ,聴かなくなります。
私たち大人でも覚えがありませんか。聴いていて気持ちのよい話し声のアナウンサーの声には思わず耳を傾けます。反対に,大声や騒がしい声の話し方をされると,「聴きたくない」とほかのことに気を向けて聴きません。
できるだけ静かに,しっとり話しかけましょう。落ち着いた話し声は,耳に心地よく,「聴く気持ち」にしてくれます。子どもたちの声の大きさも変わってきます。大きな声で話す子どもには,「その声の大きさでいいかな。」と,自分の声の大きさに気がつくように繰り返し指導して育てましょう。