授業が計画通りに進まず,年度末までに終わるか心配です。
【答え】
一年間の学習や行事を一枚の紙に表す「年暦」を作成しましょう。年度末までを見通すことができ,指導に余裕が生まれます。
【なぜ】
夏休み前の指導は計画通り進みましたか。
学年で週案を書いているとき,若い先生が「あ,計画通り終わらなかった。意外なところで指導に時間がかかって,また来週も今週と同じ週案になってしまう。時間が足りない。」と話されました。
授業は計画を立てて取り組んでいても,時間通りにいかないことが多々あります。思わぬところで指導の不十分さに気がつき,前時や前単元の学習に戻る,他の教科の学習と関連しているようでその内容にも関連させる。逆に,時間がかかると思ったところが意外と計画より短い時間ですんなり。
子どもの実態によって,授業の時間は計画通りにはいかないものです。先生方も経験がおありと思います。かといって,今日は時間が足りなかったから明日また時間をつくる。とはいきません。他の教科や行事もあります。学年末までに指導できる時間には限りがあります。決められた時間の中で,どのように取り組むかが課題となります。
目の前の単元だけを見て授業に取り組み,それが終わったら次の単元に進むとします。単元を積み重ねてゴールにはたどり着くかもしれませんが,取り組んでいるときにゴールが見えていないので,マラソンでしたらどこで水分補給するか,どこで他よりも力をかけるかがわかりません。闇雲に走りゴール直前で力尽きることも考えられます。年度末というゴールが決まっているのに,一歩ずつ目の前の単元や教科だけを見て授業に取り組んでいても,年度末までに子どもに力がつくか不安であり疑問です。
もし,ゴールや途中の様子がわかっていれば,水分補給の計画もできます。上り坂も下り坂も把握できるので,時間の配分,力の配分が見えてきます。また,走る道だけでなく,周りの景色も見えるので,学習なら教科のゴールも教科の関連も見えてきます。教科を関連させて授業の計画ができれば,学習が広がり,一教科での学習より豊かな力をつけることができます。
「いつ=何月」「何を=単元」「どのように=時間・教材・方法」指導していくのかがわかっていると見通しがもてて,段取りができ,取り組みにゆとりが生まれます。
このように,年度末をゴールとして年間での取り組み全体を俯瞰することは,豊かな授業やゆとりある指導につながると考えるのです。
【方法1】
作成~一枚の紙に表すことがカギ~
まず,A3程度の用紙を用意し,横軸に月,縦軸に教科を書き込みます。学校の指導計画や指導書を参考にしてもよいでしょう。
教科ごとに月ごとの単元を書き込みます。すると,縦にその月に指導する単元の全てが見えてきます。
次に,どの単元をどれくらいの時間で取り組むかを考えます。全ての単元を指定通りの時間で取り組むには時間が足りないことは実感済みです。子どもの実態が変われば,各単元の指導の時間は変わります。実態を踏まえ,単元間の時間を調整します。例えば,読む力がついてきているので,この単元の計画は5時間と提示されていても,3時間で計画して指導する。または,他の単元と絡めて時間を短縮する。余分になった時間を書く力をつけたい単元に回す。など調整します。
全教科が難しければ一教科だけでも取り組んでみてください。指導の見通しや段取りの大切さに気付き,ゆとりをもって指導に取り組めることが実感できると思います。
【方法2】
運用~暦は使ってこそ生きる~
計画→実行→見直し⇒再度計画この循環が大切なポイントです。暦は常に手元において書き込み,必要に応じて訂正します。計画は見直してより良いものにしてこそ価値が生まれるのです。
そして,暦をさらに具体化できるのが,週授業計画案=週案です。一か月単位で書くと,概ね一単元分が見通せます。
上旬の二週間の指導を終えた時点で進み具合が不十分なら,残りの二週間で取り戻しをします。「翌月に持ち越し,年度末で時間切れ」をさける意味での活用です。一か月ごとの調整が難しい場合は,9月から12月までの三か月を調整のひとくくりと考えてもよいでしょう。
さらに,行事を書き込んでおくと「いつ頃」「何を」「どのように」指導するかの見通しがもて,段取りができます。
私は学習発表会などの取り組みには大いに役立ちました。早めの段取りでゆとりある指導ができ,子どもの力が発揮できる発表会を行うことができました。
また,行事が立て込む時期には,授業時間の確保が難しくなりますが,時間の見通しももてるので,有効な計画を立てることができ,行事に追われることなく授業を充実させることができます。