子どもへの伝達や指導を『正確にする』には,どのようにすればよいのか具体的な方法がわかりません。
【答え】
「伝達や指導は子どもにする」という視点を再認識しましょう。「子どもの動き」として具体的に内容を把握し,記録することを習慣として「正確な伝達や指導」に取り組みましょう。
【なぜ】
学校は,学校運営計画に基づき,前年度末に翌年度の計画が立てられます。そして定期的に行われる職員会議で具体的な提案や確認が行われます。それを学年会等で学年に応じて,さらに具体的に内容を検討し,学級の実態に即して指導の仕方を考えることで初めて「学級の動き」となるのです。「正確な伝達や指導」とは,正確に内容を把握し,自分の学級に即した具体的な動きを見通して段取り,わかりやすく伝達し,いつ何をどうするのか具体的に指導することです。
会議の資料を「聞いて終わり」では,正確な伝達や指導はできないのです。
【方法】
第一には,内容を「子どもの動き」に置き換えましょう。
教師自身がわかっていても,子どもが理解できていなければ実践には結びつきません。伝達・指導され動くのは,子どもたちだからなのです。
第二には,記録することが正確さに結びつきます。「記録する習慣」をつけましょう。
多忙な時間の中で次々と指導することが出てきます。「覚えておくこと」はまず無理と認識しましょう。子どもから信頼される教師は必ずと言っていいほど,「記録」を欠かしません。記録していないと不正確な情報で子どもに向き合うことになり,信頼を失うことを知っているからです。時には変更もあります。実施直前になって,外部との関連からやむなく変更せざるを得ない場合もあり「急を要すること」が加わる場合もあります。見逃しているとその理由により指導の内容も変わり,正確な伝達や指導は十分にはできないのです。記録することで,より内容の理解も深まります。
第三は,伝達の仕方です。話し方だけではありません。まずは,その内容を見通して段取りを立てることです。見通しとは,例えば「いつ,だれが,どのように動くのか。どの学年と連動するのか,学級での一日の流れの中のどの部分に位置づくのか。具体的には何の時間にどのような活動をしているときなのか」まで,考えることです。
段取りとは「大事なことを落とさず目的を達成するためには,いつ,何を,どのようにしておくのか」ということです。
「正確な伝達や指導」には,子どもたちへの伝え方も重要ですが,見通しや段取りを考えずに話すのでは,内容が曖昧になりがちで実際の場で戸惑うことがあります。まずは見通しと段取りです。
具体的な指導では,伝える内容を整理し,目的や相手を明確にします。大事なことを落とさず,ことの順序に従って端的にが,わかりやすく伝えることにつながります。例えば,集まる時刻が設定されている場合には,「いつ・どこに・何時に」集まるのかを伝えましょう。また,持ち物がある場合には連絡帳に書かせる指導も大切です。保護者の方の協力が必要な場合は,学年便り等で早めにお願いしておきます。
常に次の5項目を確認しましょう。
- 資料の読み込みと記録
口頭での説明も記録するなど大事なことを落とさず把握(提案資料は必ずしも完全ではありません。その場での加除訂正や検討により変更されることがあります)。 - 学年や学級での計画との日程や時間の重複,無理な動きはないか確認。自分の学級の子どもが具体的に動いている姿を思い浮かべ,自分自身の疑問や子どもが困るであろうと思われることを想起する。
- 見通しと段取り
事前指導の有無や内容を整理して,見通しや段取りをもつ - 具体的伝達や指導
子どもに伝わる伝え方を工夫する。 - 「本当に伝わったか」指導の振り返りと見直し
今後の指導に役立ち,指導力向上につながります。