夏休み頃までの入門期の指導の見通しをもちたいのですが,具体的にわかりません。
【答え】
4月は「知る月」,5月6月は「慣れる月」,7月は「わかってくる月」。そして,夏休み明けは「思い出す月」と考え,段階的に指導に取り組みます。
【なぜ】
入門期での「知ること」は,たくさんあります。朝から帰りまでトイレの行き方から時間割まで「知ること」は山積みです。当然その時々に指導しますが,全員が理解し慣れてくるには時間がかかります。一人一人その過程にも時間にも違いがあります。ですから,全てを同時に指導し,定着を図ろうとすることには無理があります。
あれもこれもと説明のように話しても,子どもには,全く通じません。「説明」は「何か言っている」くらいにしか思いません。実際に体験して初めて「知ること」ができるのです。それも漸く「ああそうなのか」と気付くぐらいの段階で,「知った」から「わかった」わけではないのです。子どもにとって,知ることとわかることは別物なのです。まず「知ること」と「わかること」とを分けて指導することが重要です。
そして,知ったことを自分のものにしてわかっていくためには「慣れること」が必要です。慣れてくることで,初めて自分のものとして獲得でき,自分から行動ができる「わかる」段階になるのです。
【方法】
まずは「知ること」から始めます。指導してもすぐ忘れるのが,子どもです。繰り返し指導することを前提に,一人一人の子どもの理解を見取りながら進めます。これはどの段階においても大事な指導の鍵です。体験場面も時間もできるだけ多く設定しましょう。
そして,指導する内容は「一日一つだけ」と決めましょう。例えば「今日はトイレの行き方だけを指導する」と絞りましょう。一つだけなら,子どもの様子を見取ることにも余裕が生まれます。
「慣れる」時期に入ると,行動が曖昧になってくる傾向があります。それは,子どもたちが学校生活に慣れてくると同時に,気持ちや行動にも「慣れ」が出てくるからです。
そんなときは,初めの指導に戻りましょう。何をどのようにするのか内容や方法を確認し,曖昧になってきている部分を指導し直すことが定着への鍵となります。指導し直すことは,当然のことと考えて曖昧なままにしないことです。そのままにしておくと,何事も適当でいいという学級の雰囲気につながり,あっという間に全体に広がりよい学級づくりは望めません。
入門期の指導は段階を踏み,ゆっくり,じっくり取り組みましょう。