子どもたちが,黒板にいたずら書きをして困った経験があります。入門期ではどのような指導が必要ですか。
【答え】
黒板指導は最初が肝心です。黒板の役割「学習に使うもの」「公共物」であるという二つのことを指導します。黒板を整えることは,学びの空気をつくることにつながります。
【なぜ】
黒板は教室環境の中心にあり,学習の核です。大事なことを落とさず精選して書くことで,思考の流れや学習の流れを視覚化し,考える力を育てることに役立ちます。「みんなの大事な学習用具」です。
当然,子どもにとっても同じ大事なもののはずです。なぜ,指導が必要なのでしょう。
なぜなら,子どもは黒板に対して少し違う見方をしているからなのです。
子どもは,黒板が好きです。学校の黒板は一つの憧れともいえるものです。ところが,この憧れが一人一人により違いがある,そこが問題なのです。「黒板に何か書くこと」が興味の中心になっていることが多いからなのです。そして,みんなで学習に使うものという意識もまだないのです。
ですから,初めに指導しておかないと,黒板は子どもたちの「落書きの場」となってしまいます。一度落書きを許してしまうと,もうその後の指導はなかなか定着しません。そればかりか,学習への意欲や真剣さにまで影響を与えることも少なくないのです。
【方法】
黒板は学習の場であり,みんなで使うものであること。学習中も生活でも先生の指導のもとで使うことなどを指導し,約束をつくりましょう。この約束は,子どもと相談するのではなく教師が決めて徹底させます。指導には,愛情と同じくらい厳しさも必要なのです。何でも子どもにゆだねるということがないようにしたいものです。
さらに,黒板は教室内で大きな面積を占めています。まずは清潔にしておくことが重要です。クリーナーの使い方を工夫して常に「黒板」の状態を保ちましょう。チョークの書き残しが見えるような黒板。全体に白っぽくなっている「白板」は子どもたちの気持ちにも影響を与えます。不思議に思いますが,ゴミが落ちていても平気な教室になっていきます。きれいに整えられた黒板は,教室の静謐(せいひつ)な空気をもつくり出します。
また,黒板にプリントが貼られたままであったり,時間割が大きく書かれたりしている黒板を見かけることがあります。黒板は「今の学習を見える化している場」です。常時書かれている事柄は,日付や日直の名前など,ごく必要なことだけに絞りましょう。時間割やお知らせは,黒板横の掲示板などを工夫しましょう。使ったら片づけるを徹底します。
清潔で「今」だけが見える黒板に「いたずら書き」はありません。