正しい価値観を育てるためには,何を基準に指導するのがよいのか迷うことがあります。
【答え】
「木の幹」を教えましょう。
【なぜ】
子どもたちは「未来をつくる」これから先の「社会をつくる人」です。ですから「何を」「どのように」考え,行動するのかを自分で理解できていなければ「未来」をつくることは難しい。
自分さえよければよいのではなく,そこには人との関わりがあります。自分にとっても他者にとっても心地よく,受容される共感される日々の営みなのです。
これらの多くは,マナーやルールという言葉で表現されていますが,それだけではありません。むしろ他者と共に幸せをつくり,豊かに生きるためのコツではないかと考えます。
ですから,枝葉を教えてしまうと,判断基準があいまいになり,自分にとって都合のよい,偏った判断や行動をするようになってしまいます。
例えば,道路では右側を歩くことを指導します。しかし,もし,指導の際に,大人の行動に見られるような「ときには左側を歩くこともある」「横断歩道や信号のないところでも,手を挙げればどこでも渡っていいよ。」などと教えると,子どもは,自分にとって楽な都合のよい方へと流れてしまいます。信号が遠いと信号のところまで行かずに,手近なところで手を挙げて道を渡ろうとします。子どもは,車が止まってくれると思うのです。自分中心の思考であり,子どもに「臨機応変」は通用しません。
「子どもに指導をすること」が教師の仕事です。個人の考えを伝えるのではなく,考え方の根幹を教えるのです。
【方法】
普段から,自分の考え方はこれでよいかを周りの先輩や同僚と話し合うことが大切です。話し合うというより,「言葉にする」ことが重要だと考えます。
一人一人の考え方は,その生き方や多くの人々との関わりでつくられていきます。正しいと思って行動していても全てが正しいとは言えません。
指導の方法を知る以上に,教師として,その出来事に対してどのような考え方をするのかを学ぶことが重要なのです。
自分の学年だけにこだわらず,養護教諭や専科教員等多くの仲間と話すことが教師としての宝物になります。