体験学習ではボランティアとして子どもの指導ができましたが,担任として学級をまとめていくことがうまくできません。休み明けに不安を感じています。
【答え】
「活動」と「指導」との違いを認識し,教師の仕事の内容を見直しましょう。
【なぜ】
体験学習等では事前に決められた内容を決められた時間にそって活動を積み重ねます。活動中心です。しかもそれらは分担して行われ,一人で全体を把握したり動かしたりすることはありません。一方,担任は常に一人一人を見取って指導し,なおかつ集団を指導するという指導中心です。
例えば体験学習でのボランティアとしての仕事は,活動中心で指導対象は集団です。しかも指導の期間は短期であり,その活動への責任もありません。
それに比して担任の仕事は指導が中心で,指導対象は個人と集団との両方です。指導期間は担任としては一年間ですが,教師としては卒業までの長期になります。さらに事前や事後の準備や指導も行います。
具体的に考えると,集団活動は決まりごとの中でその通りに進めます。例えばゲームでも一般的なルールやリーダーの決まりごとで進みます。活動を進めることが中心です。
一方,担任は一人一人の考える力や心を育てる指導をします。例えばルールを決めるときにも一人一人の思いや考えを引き出し,考えをまとめ学級としてのルールを作っていきます。子どもに向き合う気持ちは同じですが,ボランティアとしての仕事と担任としての教師の仕事には大きな違いがあるのです。
さらに学級経営は,児童理解や心を育てることが中心のように思われますが,それらを指導し育てるのは「授業」が中心です。教師は授業で勝負するといわれるくらい,授業を通して子どもたちの学力向上や人間関係の育ちに責任をもちます。それが仕事です。ですから「授業力」が基盤となります。授業力とは一人一人の子どもにつけたい力がつく授業,わかる・できるが実感できる授業をする力のことです。
そして社会的な価値観を尊重し,人としての在り方を子ども同士の学びから育てていくことも教師に求められる力です。集団活動を率いる力も力量として大切ですが,それだけでは教師の仕事は十分にはできないのです。
愛情と責任という二つの柱のもと,子どもたちに向き合う仕事は同じですが,教師の仕事を見直して,教師力を向上させましょう。