夏休み明けの子どもたち。入学当時に戻ったような生活ぶりで,これまでに指導した力がついているのか心配です。
【答え】
指導の取り戻しをしましょう。
【なぜ】
教育は繰り返しです。一度身についてもすぐ忘れてしまうのが子どもです。大丈夫です。子どもたちはすぐ思い出して,今まで以上の伸びが見られます。ただ,中には切り返しの緩やかな子どももいます。一人一人の表情や行動,心情をよく見取りながら進めましょう。長期の休み明けであるこの時期は,大人でもエンジンがかかりにくいものです。けん引していくのは先生の役目です。暑い,だるい,気が乗らないなどつぶやきも聞こえてきますが,まずは先生がきっちりと切り替えて取り組むと空気が変わります。
学校への期待と学習への意欲が一生で一番高いのは,一年生です。夏休み明けのこの時期からは,これまで以上にグンと力をつけて大きな変容が見られるときです。それだけにこの休み明けでの切り替えは「大きな伸び」に向かう重要な出力となるのです。
【方法】
夏休み前の学級に戻すための期間を決めておきます。一週間ぐらいが適切と考えます。期間を決めて見通しをもって取り組むと,指導にゆとりができ,子どもに穏やかな気持ちで向き合うことができますから,子どもも安心して取り戻しの速度が上がります。期間を決めていないと毎日同じことを繰り返してもできない,元に戻らないことに焦り,返って子どもの気持ちを逆なでし指導がうまくいきません。以前書いたように,先生と子どもとは鏡の関係ですから,ゆとりをもって指導に取り組むことが効果を上げることにつながります。
また,取り戻したい内容も「時間を守る」「約束を守る」「挨拶をする」など,学級の核になる3つぐらいにとどめて取り組む方が有効です。
生活習慣などの見える力が戻ってくると,見えない力である思考力や判断力も戻ります。授業での取り組みと共に日常での挨拶や何気ない会話の中からも,友達や学級,家庭とは違う「学校生活」を意識できるよう,声かけや言葉使いを工夫しましょう。