先輩や同僚,数々の書籍を参考にしてもうまくいかない。この一年間を振り返ってみるとこんなことを感じ,来年に向け不安を抱えています。
【答え】
まず,自分を知りましょう。それを踏まえて自分流の方法を考えます。
【なぜ】
理想的な方法はあっても,誰にでも合う適切な方法はありません。このコーナーでお伝えし続けてきている方法も,指導の意味に気づき,その論をもとに自分なりの方法を考える参考にしていただきたいという思いで書いています。
このコラムを読むことで「あ,そうだったのか。」と気づき,自分の学級の指導に役立ったという声をいただくのは,本当に嬉しいことです。
他の人にとってよい方法が必ずしも自分にとって適切とは限りません。子どもに力がつき,指導者である自分にとって心地よく取り組める方法が「適切」なのだと考えます。
もちろん「自分にとって心地よい」とは,自分がよければ他を顧みないという意味ではありません。さまざまな方法を参考にしても,取り組む自分がどのように行動しているのか,取り組む際の行動には人により違いがあります。
例えば,すぐ取り組める人や私のように取り組み始めるのに時間がかかる人。取り組み始めると一気呵成に進められる人。取り組み始めたものの迷い,立ち止まり,なかなか先に進めない人。
目ざすところは同じでも,そこへの迫り方は人によって違いがあるはずです。子どもへの指導を思い出してみてください。同じ内容でも一人一人の状況により理解度や定着度の違いを考え,一人一人に合った指導の工夫をしていますね。
しかしながら,子どものことは,よく見取り,考え,その違いに気づいて指導の工夫をしていますが,自自分自身のことになると,その方法を一般化して同じに考えなくてはいけないと思い込んでいる方が多い。これではうまくいくはずがありません。子ども同様,先生たちも一人一人その性格や行動のパターンは違うのです。無理して人のやり方に合わせようとしても長続きせず,うまくはいかないのです。こうなりたいという理想や目標は大切です。しかし指導は一年間続くのです。
力をつけるには時間がかかります。短期で自分を成長させようとするとストレスになりませんか。無理をしていても何も生まれてきません。うまくくいかないことが負担になり,前に進むことがつらくなります。
それよりもどのように進めると無理なく長く続けることができるのかを考えることの方が重要なのです。そのもとになるのが「自分を知ること」です。
【方法】
一年間でつけたい力《生活習慣と学習》を見通し,そのためには一週間をどのように過ごすのかを自分に合う方法でイメージしていきます。例えば私の場合,まずは,自分を知ります。
(1)曜日を決める
コツの1 自分の性格(仕事に向き合う自分)を知る
⇒ 取り組むのに時間がかかる私。締め切りをつくりました。締め切りがあると追い込まれて一気呵成に取り組むことができるからです。決め方のポイントは子どもへの指導なら「ノートは○曜日に返す」と子どもと締め切りを決めること。このように他の人との関わりで締め切りなどの約束をつくることがコツです。
コツの2 自分の「やる気度」と関連付ける
⇒ 一週間での自分の「やる気度」のリズムを知る。
週前半にやる気度が高ければそこに集中させ,週半ばに落ちるならそこには重要度の高いものは避けるなど,一週間での自分のやる気度のリズムと曜日とを関連付けて計画を立てます。
(2)必要な指導を書き出す。
コツの1 生活と学習の両面を網羅する
⇒ 指導は授業中だけではありません。登校してから下校するまで 一日の中でどこにどのような指導ができるかを考えます。(朝が苦手な私は学習内容に関わること《日記やスモールテスト》などの指導は,帰りの会に位置付けていました。)
コツの2 時間割は,曜日を見通して工夫する
⇒ 上記のやる気度と関連させます。体を動かすことが好きですか。体育などはやる気度が子どもへの安全管理に直結します。自分の体調がよければ目配りが十分にできますから。
もちろん子どもたちの集中度を考え,考えることが多い教科は午前中に配分する,図工科など持ち物が必要な教科は準備が整いやすい曜日に配分するなど,基本は子どもの学力をつけることに配慮することです。そこに,自分のやる気度リズムを関連させて計画することで,結果的には子どもに力をつける指導が充実すると考えます。
「自分を知ること」は仕事だけでなく,生活全体にも当てはまることが多々あります。子どもたちへの目を自分にも向け,仕事も生活も心地よく充実させたいものです。