初めて学年主任になりました。どのような意識で,どのような仕事をするのか悩んでいます。
【答え】
まず,チームで仕事をするリーダーという意識をもち,担任同士の連携を図ります。各学級での問題点や課題を把握し,解決に向け共に取り組みます。
次に,どの学級の子どもたちにも同じ学力をつけることができるように学習進度の調整を図ります。その他には,学年や他学年との行事の調整をするなどもあります。
【なぜ】
なぜチームという取り組みが必要なのでしょうか。まず,その理由「チームの取り組み」 とはについて述べておきます。
もし,担任が「学級単位」だけで指導に取り組んでいると,子どものよさの見取りや学習指導を十分に保障することは難しいと考えます。経験年数に関わりなく,担任一人での見取りには限界があり,ともすると恣意や主観での偏りも出てしまう場合があります。
私が教師になった40年前は「学級王国」という言葉に象徴されるような,個々の学級の集まりと言えるような学校経営という考え方がまだ残っている時代でした。しかし,どんなに力を尽くしても,担任一人の見取りや指導には限界があります。より多くの目で多角的・多面的に子どもたちのよさを見取り育てることが,子どもに力をつけることにつながると気づき,今のような学年経営の在り方が生まれたのです。
ですから,指導は,学年の子どもたち全員を各学級担任や学年の指導に関わる教師全員で取り組むという考え方が重要なのです。
「チーム学校」。全職員で学校の子どもたち全員を育てましょう。
【方法】
まず,学年内の担任同士,意思の疎通を図ります。
なぜなら,学年経営とは,各担任が一丸となって,学年全員を育てていくために,どのようにあるべきかを考え,実践していくことだからです。したがって,担任同士の思いの共有や共通理解が学年経営の基盤です。担任には,それぞれ自分の経験や教師としての学びから,学年・学級経営への「自分の思い」があります。
思いのずれを把握し,十分な話し合いをすることが重要です。話し合いが十分でないと,小さなことでもずれが生じ,学級ごとの指導のずれにつながってしまうからです。しかも,このずれは,「学級によって取り組みが違う」「先生がいいという学級とダメという学級がある」など子ども同士の混乱や保護者の信頼にもつながってしまいます。「こんな細かいこと」と思われますが,こんな小さなずれが積み重なり,大きな破たんに結びつく怖さをいくつも観ています。
まずは,よく話し合い意思の疎通を図り,そのうえで学年としての経営方針を決めていきましょう。そして,話し合うときには,学年主任として自分の考えを明確にしておきます。方向性だけでもよいですができるだけどのような力をつけたいのか,そのためにどのような取り組みを考えているのかを整理して話し合いに臨みます。この姿勢が学年主任としての責任であり,他の担任からの信頼をも生み,今後の学年経営での在り方にもつながります。大変でもひと頑張りしましょう。既述の項に一年生でのつけたい力「聴く力」について述べています。よかったら参考にしてください。
担任同士が十分に話し合い,お互いに尊重し理解し合うことから子どもへの指導が始まると考えましょう。そして各学級で問題が生じたときには学年の問題としてとらえ,学年みんなで考え解決に取り組みます。それがチームです。
次に学習進度の調整に取り組みます。
どの子どもにも学力を保障するためには,学習進度が大切な役割となります。
授業は計画通りに進む日ばかりではありません。そのため,各学級の進度にずれが生じることがあります。そのような場合には,子どもや保護者は自分の学級の進度をとても気にします。特に他の学級より遅れている場合には,教師への信頼にまで影響します。
したがって,遅れている学級がある場合にはその原因を学年で考え改善を図ると共に,進度を知らせる学年便り等にも配慮します。例えば,今,学習している題材と遅れている学級での題材との両方を掲載しておきます。また,研究授業等で学級により題材を入れ替えることもあります。このような場合にも,必ずその理由と共に子どもや保護者に伝えます。
さらに,遅れた原因を考えます。行事等を考慮し指導の時間に無理はなかったか。つけたい力は明確であったかなど,指導計画そのものや学級での課題等,その原因を共に考えます。指導に滞っている場合には,自分の授業を見せることも一つの方法です。授業の展開や板書等が参考になります。特に板書は,他の学級の子どもたちの目にもふれることが多く,子どもたちが自分の学級との進度の違いを感じる要素にもなっています。
このように,学年主任として,常に学年全体を俯瞰し,課題や問題への気づきをもち,その解決に向け「あたたかな配慮」ができることが大切なのです。
学年主任という立場は,仕事の内容も人への配慮も難しく面倒に思われることもあります。しかし,この立場が自分を育てるととらえ,真摯に向き合い自分自身の教師としての力を磨きましょう。
追記
1.学年ノートを作り,活用します。
- 紙ベースにします。なぜなら,いつでも誰でも見ることができ,話し合った内容を確認することができるからです。
- 記録することで話し合いに結論=答えが出せます。話し合っているうちに話が多方面に広がり,話し合いはしたけれど結論はそれぞれの感じ方でおしまい。などということがよくみられます。ですからずれが生じる。時間をかけお互いの思いを話し合って共通理解をすることがゴールです。
- 記録した学年ノートは,次年度の学年の学年経営の見通し等に役立ちます。
2.行事の調整をします。
職員会議での確認や他学年との調整等,計画に無理がないか,他の行事(集会等小さな動き)との重なりがないかなどを確認します。
そのためには,常に自分の学年の動きを把握しておくことがポイントです。自分のための記録ノートなどを作りましょう。細かいことも記入しておくことがポイントです。