☆コラム 言葉から指導を考えます。
一年生を担任しているときのことです。校長先生から指導について声をかけられました。「入学したての一年生がなぜこんなに落ち着いて学習しているのか不思議でしたが,答えを見つけました。先生の言葉です。
5月という入学間もない子どもにわかりやすく伝えていますね。まず言葉が少ないので聴き取りやすい。何を伝えようとしているのかわかりやすい。そして一度しか言わないと伝え,聴くことに集中するよう繰り返し指導している。これなら子どもたちは先生の指導を受け止めやすく何をどのように行動すればよいのかがわかります。一人一人は落ち着いていられるのですね。」と。
私は「誰でもしていることなのになぜ言われたのかしら。」と褒められたというより,いぶかしく思いました。
そこで,学年会でこのことを伝えると「えー。そんな言葉や言い方はしていないわ。あれこれ言葉を並べてしまい,もっと長々と言っている時があり,自分でもこれは子どもに伝わっていない,聴いていないと感じ,はっとすることがあるわよ。」との反応でした。その後も多くの方々から授業公開のたびに言われる機会があり,役立てるならと言葉と指導について掲載することにしました。
これまで使ってきた,そして今でも更新している「言葉」を集めてみました。言葉は指導に生きる意味あるものでなくてはならないと考えます。ですから吟味して選択し,使います。教師の言葉は子どもの言語環境に大きく影響します。
以下の言葉は,子どもにも先生にも,授業にも日常にも使える意味ある言葉となることを目ざしています。あえて細かい分類はしていません。自由にさまざまな場面で使い,有効な使い方を見つけていただけると嬉しいです。
(1)授業の中で意識的に使う言葉
・だから どうすればいい どうしたい
・素晴らしい
・いいね いいこと
・すごい
・それが大事
・すごく大事
・その気づきが素晴らしい
・それは嬉しいね
・大丈夫! いけないことをしても先生はあなたを嫌いにならないよ
・美しいね
・いいことを考えよう
・もっと楽しいことを考えよう
・よく考えたね もっとあるかな?
・よく自分の考えを言えたね
・いい考えだね
・素晴らしい考え
・オリジナル 誰も考えつかなかったね
・やさしい気持ちをもつことが大事だね
・もっとあるかな
・よく考えて言おう
・じっくり考えてから言って
・じっくり読もう
・伝わるように丁寧に書こう
・伝わるようにみんなに聴こえる声の大きさで話そう
・「伝わった?」
・一時間の学習中に必ず一回は声を出そう
(2)心を育てる基盤となる合い言葉
「いいね 友達 大好き私」
「言葉に心をのせて,お話しましょう」
「自分で考える頭と心をつくろう」
「わからないから学校に来ている」
「わからないことをみんなでわかるようにしていこう,それが学校」
(3)仕事にいきる言葉
○ぶれない
○短期決戦 工夫の山 結果を出す
○二つのそうぞうりょく 想像力と創造力
○4月は知る月 5月・6月は,慣れる月。7月はわかってくる月
(4)自信がもてる言葉
○強く 明るく 元気よく
強くは,信念をもち,ぶれないこと
明るくは,前向きな気持ちと考え方をもつ
子どもたちを明るく包む 教室を明るくできる
人的・物的環境を明るくできる
元気よくは,生き生きと前進するエネルギーを感じさせることができること
○明日は頑張れる