学級での約束を決めて指導していますが,全体が落ち着きなくどんどん学級が騒がしくなっています。何がいけないのかわかりません。
【答え】
「学級の約束」とはどのようなことか,考え方を見直しましょう。
【なぜ】
「学級での約束にはどのようなものがありますか。」との質問に次のような答えが返ってきました。
「校則をきちんと教えています。例えば廊下は右側を歩くとか,静かに歩くとかです。」あれっ? と思い聞き返しましたが,残念ながら出てくる内容は一般的な公共規範ばかりでした。学級における約束と校則とを混同しているように思えました。
学級での約束と校則とは違います
学級における約束とは学級経営を具体化した子どもとの約束という意味をもつものです。子どもたちが毎日来たくなる,ずっと居たくなる学級にしていくための約束です。あくまでも学級の子どもを育てる,子どもに力をつけるための約束なので,一般的に使われている校則とは違います。校則は「○○してはいけない」と禁止事項を示すことが多く,行動等についての制約を示す「決まり」です。しかも校内にいるすべての子どもや生徒に対する一般化したものです。
このように校則と学級の約束は,まず対象が違うのです。
校則が学校全員を対象とすることに対して,学級の約束はその学級の子どもだけを対象にします。その学級の子どもたちをどのような子どもに育てるのかを考え,つくる約束だからです。
次に約束の進化にも違いがあります。
校則は変化も進化もなく一度決めたら守るための指導に重点が置かれます。「校則」=不自由なものという認識が誰の心にもあるのはそのためでしょう。
これに対して学級での約束は,友達との人間関係を築き,自分を育てる学級づくりと学力をつける授業づくりのための約束なので,子どもたちの成長によりその内容が進化する約束もあるのです。
校則と学級の約束とでは求める質が違うのです。今一度学級の約束について考え直し,豊かな学級づくりに取り組みましょう。