☆コラム 「私を取り戻したい!」
子どもたちの安全と心地よさを考え環境を整えていますが,自分の教室でありながらなんとなく居心地がよくありません。と,つぶやく声を聴きました。その教室は整然と整えられ,余分なものもなく安全面も担保されています。ただ少し殺風景かしら? と感じました。
環境整備を子ども中心に整えるのは当然ですが,自分自身にとっても一年間過ごす仕事場です。自分のための環境整備も大切だと考えます。なぜなら,自分が心地よい環境で気分良く過ごしていれば,自然と子どもたちへの笑顔も温かい気持ちもわいてきます。学級全体が活性化し豊かな心が育ちます。
しかし,居心地が悪いと気持ちも沈みがちです。子どもへの気づきや指導における余裕は生まれません。思わぬ失敗やさまざまな弊害が生じて,ますます気持ちが落ち込みます。自分の気持ちを奮い起こし,前に進むためにいくつもの工夫を重ねてきた経験値で言えることは,自分のために居心地のよい環境づくりをすることです。
唐突ですが,あなたは自分の教室を愛していますか。
一年間あなたのためにある場所です。毎日長い時間を共にする場所です。時間にするとどれくらいになるでしょうか。自宅で過ごす時間と比較すると,圧倒的に自分の教室で過ごす時間の方が長くありませんか。起きている時間のほとんどをこの空間で過ごしているのです。いまさらですが,この原稿を書きながら私自身もその時間の長さに驚いています。
快適な空間づくりで気分良く過ごせるよう,工夫します。
教室は,学習の場であるため必要な掲示物や色の取り合わせなど子ども中心に整えます。自分の好みだけを優先させるわけにはいきません。そこで自分のためだけの小さなスペースをつくってはどうでしょう。
教師用の机上の端に自分へのエールとなる言葉や好きな絵葉書を飾るなど自分だけの心地よい・元気の出る「スペースづくり」です。私は研究発表を控え,いつも以上に人間関係にも悩み何もかもが難解な毎日で自信を失いかけていたころ,「よいしょの言葉」スペースを作りました。
紙面いっぱいに太く大きく力強く「正念場」と書かれた絵葉書を机上に置いたのです。絵葉書ですからほんの小さなスペースです。視野に入る度に元気をもらっていました。その時の私は乗り越える強さを求めていたのだと思います。今思うとやさしい色の花やかわいい小物を飾る方が和らいだのかなと,心の余裕の無さを顧みて恥ずかしくなります。
小さなスペースでよいのです。机上が難しければ引き出しの中でもいいでしょう。「あけたら,○○が見えて元気が出る。」想像するだけでも楽しくなってきませんか。
そして,もう一つ整えたいのは人間関係,人的環境です。気の合う仲間となら仕事への意欲も持久力も高まります。仕事仲間にも子どもたちへも笑顔で明るいあなたを心がけましょう。誰にでも気がかりや悩み,不安や不満,いらだちがあります。でもそれを表情や行動に表したところで何かいいことがありますか。残るのは後悔と空虚さだけ。それなら明るくあっぱれなあなたでいましょう。笑顔で明るいあなたを仕事仲間も子どもたちも,大好きです。頑張れ,きっとうまくいく。大丈夫!!!