運動会の練習などで,運動場へ出るとなかなか集まらず,学習が始められなくて困っています。どのような指導が必要でしょうか。
【答え】
「待つ場所」と「待ち方」を指導しましょう。
「鉄棒の前に背の順4列で並ぶ。並べたら座って待つ」など具体的に知らせましょう。普段生活している自分の教室以外の場所は,子どもにとって,魅力的な空間です。必ず具体的な指示をしておきましょう。
用具の準備などは事前に済ませておくなど,できるだけ子どもだけで行動することがないよう学年内で協力し合うなど,見通しをもって指導に当たることが重要です。教師がいち早くその場所に行くことは,言うまでもありません。
【なぜ】
運動場に出ることは,子どもたちにとって魅力的なことです。あちらこちらに広がり遊び始めるのは,子どもとして当然の姿です。
入門期の子どもには「何を」「どのようにするのか」自分で考える力や行動する力はまだ育っていません。教師は「並んで待つのが当然」のつもりでも,具体的な指示がなければ子どもは「自由に遊んでよい」と,わが意を得たとばかり遊び始めるのです。
しかし,子どもにとって魅力的な運動場は,教師にとっては「危険な場所」です。何よりもまずは,「子どもたちの安全を保証すること」が教師の役割です。安全な場所で待つことができるよう,場に応じた集合場所や並び方を決めておくことは,危機管理として重要なことです。
【方法】
入門期には,学校生活や学級,学習における「約束」を知る,つくる指導が必要です。特に運動場など教室外に出ることは,けがや事故に結びつくことが多く,「いつ」「どこに」「どのように並ぶ」のかを子どもとともに決めておきましょう。
場所は,車や人の出入りのある門を避け,遊具など,子どもたちにわかりやすい目印を用いて示します。また,暑い日には,「木陰」など日差しも考慮しましょう。
並び方は,人数や健康状態を把握しやすいよう,名前の順や背の順など目的に応じて決めましょう。
また,欠席者の場所を空けておくのか,詰めてしまうのか,迷うことがありますね。空けておきましょう。「誰がいないのか」を瞬時に把握し人数確認をするためには,常に同じ友達どうしが並んでいることが教師にとっても子どもにとっても重要です。「いつも○○さんと一緒に並ぶ」と指導しましょう。緊急時に「いないのは誰か」を把握するとき,役立つのです。