授業づくりでは,子どものつぶやきを生かしたいと考えていますが,子どもたちの「つぶやき」は多様です。子どもたちの「つぶやき」を聴き取り生かすために,大切なことは何ですか。
【答え】
教師自身の「キャパシテイ」を広げることです。
子どもの思考は,教師が考えもしなかったような視点から発想し,その「つぶやき」は多様です。教師の考え方が狭いと,子どものつぶやきの広さや深さに気づくことができません。
【なぜ】
子どもたちの「つぶやき」や発言に対して,教師自身の考えと同じ答えや近い答えを期待していませんか。自分が興味や関心のあることは,意識することなく自然と聞こえてきます。反対に興味のないことは聞こえてこないものです。
子どもたちの「つぶやき」に対しても同じことが言えるのではないでしょうか。
「答えはこれだ」と教師が自分の考えに固執していると,同じ考えの答えだけを期待していますから,当然よく聞こえてきます。しかし教師自身が考えていなかったことは,たとえ,子どもがつぶやきいたとしても,聞こえてこないことがあります。
せっかく,子どもが自分なりの気づきからつぶやきいても,取り上げてもらえないと,だんだんつぶやきかなくなってしまいます。
また危険なのは,微妙に違うことをつぶやきいているにもかかわらず,教師の考えに誘導したり,言い換えたりしてしまうことです。子どもの思考や表現の学びの場を奪うことにもなり,残念に思います。
【方法】
まずは「つぶやきくこと」が,学習の第一歩です。「つぶやき」の内容はともかく「つぶやき」そのものを認めましょう。子どもたちが「学習しているのは自分だ」という意識を育てることが大切です。
内容から多少外れていると思われる「つぶやき」にも必ず応えるようにしましょう。子どもは「先生は自分の声に応えてくれる」とうれしくなり,つぶやきく回数が増えてきます。安心して学習に取り組みます。内容のずれは課題の確認などを通して,よりよい「つぶやき」になるよう指導しましょう。
さらに課題から大きくそれていることもあります。だからこそ学習することで,「気づきや新しいことを知る,何かができるようになる」という「学ぶ楽しさ」を味わうことができるのです。丁寧につぶやきの内容を子どもたちとともに掘り下げて聴いていきましょう。
教師は,子どもの思考の多様性を理解,一つの疑問に対して多角的多面的に考え,多様な答えを考えておきましょう。この場合の答えとは,気づきであり,解答とは違います。教師は子どもが「何を,どのようにとらえ,どのように考えるのか」という子どもの思考予想を,多様性をもって広げておきましょう。
もちろん学習している内容にまったく関係のない「つぶやき」については,指導しましょう。何でも勝手に話してよいという,暗黙の了解として定着してしまいます。