授業を始めて20分ぐらいすると,勝手に話したり,教師の問いかけにもつぶやきや反応が少なくなってきたりして,学習への集中力が低下してきます。学習への集中力を高め,力をつけるためには,どのような工夫が必要ですか。
答え
学習形態を工夫しましょう。ここでいう学習形態とは,集団やグループ,または個という人数を変化させることと,教室環境を変化させること。具体的には机や椅子の並べ方を工夫すること,そして立つ,座るなど活動そのものに関することなど,さまざまな形態を「学習形態」ととらえています。
学習内容に応じて,学習形態を工夫することは,学習活動への集中力や学習効果を高め「考える力」を育てることにつながる重要な工夫です。
なぜ
入門期の子どもが集中できる時間は,10分から15分です。音読も「座って読む」のと「立って読む」のとは気持ちが違います。「座って読む」ことは,主に自分のために読むので,気持ちも楽です。「立って読む」ことは,人に聞いてもらうために読むため,少し緊張します。このように,立つ,座るだけの違いだけでも,気持ちだけでなく,その目標までもが変わってきます。
個人面談を行うとき,机の配置や数を変えませんか。少人数だから机を少なくしているのではありません。話しやすい雰囲気になるよう,机の数や配置を工夫しているのです。目的により,環境を変化させているのです。
学習内容や活動は多様です。いつも同じ場所や机の並べ方など,固定した環境の中で気づきや発想,考える力が生まれてくるでしょうか。
学習は子どもたちが取り組む活動です。子どもたちは,大人以上に環境に左右されることは周知のことです。例えば,子どもは「ひみつ基地遊び」を好みます。狭いところに無理やり入り込み,一人の場所をつくります。子どもの気持ちや思考を考え,学習形態を工夫することは,学習への意欲を生み,集中して取り組むことで力をつけることに結びつけることができます。
方法
一斉授業のときは,机をコの字型に並べ,友達どうしで学びあっている意識を育てましょう。そのとき,予めペアを作っておくと,二人組での活動に入りやすくなります。
二人組で活動するときは,向き合う,L字型,横に並ぶなど,机と椅子の両方か,椅子だけを使うのかも含めて,学級の実態や環境を考え,工夫しましょう。
また,教室内だけでの学習にこだわらず,校庭の木陰で音読をする,育てている植物の横で,その成長についての話し合いをするなど,工夫しましょう。外で活動するときは人数の確認や危険箇所の確認など危機管理を忘れずにしましょう。
さらに,いつも集団,二人でなど複数での活動ばかりでなく,「一人で考え,学習に取り組む」習慣を育てる意味で,一人学びをする形態も取り入れたいものです。
例えば,書く活動では,机をすべて壁側に一列に並べ,一人ずつ窓や壁に向かって書くという一人の環境を作りましょう。いずれの形態も一例です。工夫や繰り返し取り組むことで,学習への集中や「考える力」の育成を目ざしましょう。
「コの字型」の例